きゃまきのブログ

アウトドア好き陰キャがライフログ残すだけ

「はなまるスキップ」と現代社会

※※※思想マシマシ拡大解釈妄言オオメ※※※

 

 4コマオブザイヤー新刊部門5位にもランクインした人気作「はなまるスキップ」。まんがタイムきららコンテクストを悪用した治安の悪い新感覚ギャグが話題となったが、2巻の内容はマイノリティコミュニティでの日常、友情が主体となっており、メタ・メタ的にまんがタイムきららイメージに立ち返ったものとなっている。くしくも連載は終了してしまったものの、最終巻発売LINEスタンプが発売されたり、有償(約¥4,000)のアクリルスタンド特典版が出たりと、少なくないファンがついていることは疑いようがないだろう。かくいう私も、リーフレット得点だけでは飽き足らずサイン本にも募集した一人である。

サイン本。要は自慢。

 

 なぜか一巻発売時に記事を書いていなかったのでせめてここで残しておこうと思う。優秀な総括記事は他で出ているようなので、思想強めの総括記事を出力することを心掛けたい(心掛けるな)。本作はブルジョワキャラやぐう聖委員長、そのファンのパンピ等ステレオタイプ化されたデフォルメキャラで構成されている。私はそれぞれを通して主張したいメッセージがあると感じたため、各キャラ毎に述べていこう。

 

  • シェフ子


 料理系有名インフルエンサーJKである彼女は現実世界では周囲から孤立しておりテストも常に32点。現代のSNSの普及により生じた承認欲求モンスターである。そんな彼女も巻き込まれであるが星見はるに誘われピクニック同好会(以下ピ同)に所属。そこでは散々な目にしか合ってないように我々には映るが、料理部対決の際に明かしたように彼女は現実の学校生活は楽しいものへと変わったと言う。二巻お月見回では「誰かと喜んだり楽しんだりすることの大切さを知ったの」といいさらに幽霊騒ぎが起きた時には「参加者を守らなくちゃ」とまで行動している。単なる人気インスタグラマーにせず料理という視覚情報だけでは本来伝わらない要素を加えたことで現実世界でのリンクの重要性を高めた手法は、ネット時代の人間関係のあり方に問題提起を出す巧みな試みだと思った。
 そのお月見会に乗じた部員増加を狙う企みは橋倉先生の妨害により叶わないも、個人単位の歩み寄りだけではなくマイノリティサークルであるピ同を超えて拡張された歩み寄りを狙うシェフ子の成長を存分に感じさせるものであった。さらに同じサブタイ「頑張れ!シェフ子ちゃん!」を使いまわしている最終話では調理師の専門学校に行く旨を伝え、栄養や味についても勉強したいと述べている。唯一明確な成し遂げたい"希望"をつかんでいる彼女から学ばなければならないところは多数あるのではないだろうか。

 

  • 赤井るあ

 ぐう聖委員長藤原あやめの追っかけ。ピ同のなかでは可愛げあるキャラに見えるも同級生のインスタにアンチコメ連投と冷静に考えればヤバいタイプの人種である。ところで、アイドル文化といいVTuber文化といい日本人は他者にすべてを捧げようとする傾向強くない?なにか理由あるのだろうか。
 さて委員長のファンのパンピである彼女は、実世界で委員長とかかわりあえるはずなのだが、中学時代からちゃんと話せず、何が趣味か等もよく知らない状況。研究生として面倒ごとに巻き込まれても星見はるに後押しされる形で自分の意思でプレゼントを選んだりバレンタインチョコを渡したりと少しずつ変わっていく。ピ同メンバーの中では一番わかりやすいキャラなのではないだろうか。「推し」という言葉は広く一般的に用いられるようになったが、ネトストから住居の特定をする等危うい人も思ったより少なくない。その熱意自体はともかく猪突猛進っぷりに対して、「その人がどういう人か」というような相手を理解し思いやれる部分の重要さを持つべきだという部分が主張したかった部分なのだと思う。
 委員長への"ときめき"を形にして一歩踏み超えた彼女。最後のサブタイが「で君はなんなん」だが、学年二位の委員長と同じ大学に行くぐらい勉強に取り組めるのだからその先で何か見つけるかもしれない。日本の大学進学なんてもっと理由ないやつはいくらでもいる。小川めぐりの「別のアイデンティティが見つかるといい」というのは単なる悪口ではなく彼女の更なる成長を願ってのことだろう。私も切に願うばかりである。

 

  • 小川めぐり


 2巻の主役は彼女であるといっても過言ではないだろう。あれだけ暴言を繰り返してきた彼女にいい意味で破壊されることと予言できた人はいるのだろうか。witter見てるとなんか結構いた気がするな。先見の明ありすぎだろ。
 小さいころから病弱でありコミュニケーション能力が不足していた彼女は学校生活やイベント事に対し酸っぱい葡萄で毒を吐くという悪循環に陥っていた。中学では一時期偶然にてグループに入るも、そこでの成功体験を「お金を払うことが自分の役割だ」と解釈してしまい、さらに決済できない(役割遂行できない)タイミングでの誤解によりグループとも疎遠気味になってしまう。これらの経験を経て小川めぐりは何かしらの役割を提供しなければならないというポケモンの役割理論に毒された思考と酸っぱい葡萄で毒を吐く癖を身につけたモンスターとなった。星見はるやピ同の面々と関わる中でもその意識は完全には抜けきらず今回の親の事業失敗により離別を決意するも、本心をさらけ出しピ同と向き合う中で人間関係は利害関係だけで構成されていないことに気づけた彼女。
 さて、ここまでは現代きらら的な良いエピソード、という一般的な感想であるが、ふと疑問に思ったことがある。役割理論大好きポケモン脳になった経緯はわかるが、何故作者は数ある役割の中でもお金を払うという役割を持たせたのだろうか。金持ちキャラがいると話を動かしやすいから?嫌味なキャラのステレオタイプ的なイメージを想起させやすいから?それもあるだろうが本作の世界観を考えるともう一つ注目すべき点があるように感じた。
 本作内部の世界は資本主義世界であることが強調されている。サブタイやセリフに資本主義、資産運用等の単語が頻出するし、何より小川めぐりの好きな言葉が資本主義である。しかし、本作は非体制側のマイノリティにスポットライトを当てた作品である。体制を助長する側の小川めぐりがこの役割をになったのはなぜなのか。
 私はよりよい社会を作っていくには資本家サイドと労働者サイド互いが歩み寄る必要があると警鐘を鳴らしたかったのではないかと考える。資本主義システムに内包される格差の拡大はとどまるところを知らず新自由主義により更なる加速が進んでいる。これが進むとどうなるのか、それをIFの世界で描いたのがVR回であろう。潤沢な資金によるピ同の支配がもたらしたのは圧政からの脱却を望む革命であった。

『はなまるスキップ』(著:みくるん)第2巻27ページより

 

ウィジェーヌ・ドラクロワ民衆を導く自由の女神1830年
259cm X 325cm パリ、ルーブル美術館蔵 
画像元: https://ja.wikipedia.org/wiki/民衆を導く自由の女神 より


 本編でパロディされたこの絵はフランス七月革命を主題として書いた作品のため、ブルジョア王政を打ち立てた革命の絵でブルジョアジー打倒を打ち立てているところが痛烈な皮肉である。わざわざこの絵から比較的目立つ「ブルジョワ階級を表しているといわれているらしいシルクハットのマスケット銃を持った人」を省いているあたり、作者も意識はしているのではないだろうか。この荒廃した社会、先のない未来からの脱却を図るにはどうすればよいのか。それは本編のエピソードのように両者の歩み寄りである。資本家は勿論、私のような労働者サイドも「酸っぱい葡萄」で過度に他者を拒絶することなく受け入れようとする姿勢を持たなければならないのではないか、そういった感覚を抱かずにはいられなかった。コミュニティ形成、歩み寄りの重要さの主張自体は特段新規性が見られるものではないが、現実世界とも半ば融合したメタ・メタきらら世界で主張することで我々に強い印象づけを与えることができたのではないだろうか。メタきららを巧みに用いた構造がもたらした効果といえるだろう。この構造を用いれば、小川めぐりに対してGDPでマウントを取る橘セイラの話を国家間人種間の歩み寄りにまでつなげて掘り下げたりすることすらできたのではないかとすら感じている。"勇気"をもって既存体制からの脱却を求めた彼女の姿勢から学べることが我々にもあるのではないだろうか。

 

  • 星見はる


 一巻ではテストで一夜漬けで満点を取ったり、有名スピーチを引用し言葉巧みに生徒を誘導したりと、これまでは圧倒的カリスマを持つ主人公属性を発揮していた彼女。しかしながらその素顔というか本心は意外なものであった。彼女は子供のころ転勤族の娘であり、小さなころから人との別れを経験しすぎていた過去を持つ。その中でピ同のメンバーですら期間限定の仲と割り切るような諦観を持つようになった。彼女は仲良くなりたいためではなく嫌われないように他者を全肯定していただけなのだ。しかし、これまでと違い期間が長かったこともあるのか、ピ同と過ごした日々は彼女にとって大切な思い出となっていた。メンバーそれぞれに対し打算的な意図でかかわっていたとしても、彼女たちは助けられたと感じたのだ。「いいんじゃない別にさ 何でもないことで人生が変わる人もいれば それだけやって何も変わらない人がいたって」これは別のきらら漫画のセリフだが世間も存外そんなものである。ただし、危うさは多分にはらんでいる点は注意する必要がある。民衆やピ同がカリスマ性を見出した彼女の内心が明かされた時の私は震えあがっていた。というのも『ザ・ワールド・イズ・マイン』という有害図書道徳の教科書漫画を思い出したからだ。もちろんかなり大げさな反応であることは認める。ただあれほど極端な展開にはならなくとも、勘違いした先がどのようなものになるのかをしっかりと想像できないことには凄惨な未来が待ちうる可能性があることを常に自省する必要はある。「吐き気がするほど人間のスタンダード」である私含む多くの人としてはなおさらである。

 脱線したが彼女たちは初めて自分の言葉で話した星見はるに恨み言をいうことなく「はるちゃんの言葉は届いたわ」「自分と向き合えるようになった」「困ったときはすぐ相談して」と伝えた。自分の言葉でしゃべるのは結構怖いものである。自分は何歳になっても苦手だ。こんな妄言を書き連ねていて何をと思うかもしれないがこの記事も結構頑張っているのである。まあ私のことは放っておくにしても、社会性動物である人が他者を信用せずに生き抜くことは想像以上に修羅の道である。というか実際は見えてないところで恩恵を受けているだけでどこかでボロが出るだろう。卒業スピーチである意味ギリギリ彼女は間に合った形と言っていいだろう。さらに彼女は自分の"夢"をピ同に語り物話は終わる。どのようなものになるのかは分からないが壁を壊した彼女はどんな困難も乗り越えていくことだろう。

 

  • 全体を通して

 何度も述べるが本作はメタきらら系作品である。本作ではきららでこれまであまりなかったブラックジョークがふんだんに詰め込まれている。ブラックジョークは基本現実を考慮した上でしか成り立たない性質を持つのでこれだけでもメタ的だ。しかしこの作品はギャグとして現実の法律の話を持ち出すことが多い。このことにより現代の法律下で成り立っていることも同時にアピールしている。よく本作を紹介する表現として「治安の悪いきらら」「不条理ギャグ」「無法地帯」が用いられている印象だが、私としては最後の一つは不適切と感じている。ピ同の活動を制限できるのは基本的には法なのだ。星見はるは公職選挙法違反で生徒会長になれなかったし、赤井るあが会長パネルを破壊した鳥を捕まえようとしたときは(その意思自体は否定されず)鳥獣保護法に引っかかると警告した。校則レベルではアイ研は部費の使い込みで同好会に格下げされたし、部員はあくまで五人以上というルールがずっと適用されている。あくまで法治国家のルールに基づいて成り立っている世界なのだ。少し脱線したが、要はこの作品の世界観は現実世界の世界観と一致しているということである。ここまで踏まえてこの作品が新しく思えた理由を考えると次のような理由からではないだろうか。写実的な作品で現実世界を描こうとする試みは多数見られるも、メタ構造を取り入れいかにもなデフォルメされたキャラにより再構築された世界で表現しようとしたことである。キャッチコピーの「かわいいキャラに騙されるな!!」は「かわいいキャラが過激な行動をとること」だけでなく、「かわいいキャラが生息するような理想郷ではなくあくまで現実世界に生きる人間であること」ということも表しているのではないだろうか。JKの会話以外を徹底的にそぎ落とし日常を描く『ゆゆ式』、魔族魔法少女モノという我々から見たら非日常の中の日常を見せてくれる『まちカドまぞく』等きららパラダイムは変化してきているがそこに新たな一石を投じた作品だったであろう。しかし、ただきららコンテクストを利用しただけではない。あくまできららの道のりにはしっかりと乗っかっている。各キャラにはキーワードとなるセリフがある。上記の""で囲われた部分を見ていただきたい。

 

シェフ子…"希望"
赤井るあ…"ときめき"
小川めぐり…"勇気"
星見はる…"夢"


 誰が何と言おうとこの四つである。そう、この四つの言葉は「まんがタイムきらら」創刊時に掲げられた「読者に希望や夢や勇気やときめきといった“輝かしいもの”を届ける雑誌でありたい」という気持ちを象徴するものなのだ。あくまでまんがタイムきららのコンセプトを忠実に実行した作品なのである。さらにこの四つを英語に直し並び変えると…
希望…wish 勇気…plucky ときめき…palpitation 夢…dream


→HANAMARU SKIP wlcyplpittiod

 

『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』(著:猿渡哲也)より。すぐ語録を使いたがる。

 きらら⇔はなまるスキップの循環が示されているのだ!きららの民は循環が大好きである。きらら作家も含め大体みんなスタァライトが好きなところからも自明であろう。きららとの連続性をアピールしつつ平成末期~令和のトレンドまで織り込んでしまった手腕には脱帽するしかない。
 素直にさらけ出すことも主張している本作の告知が「次回作にご期待ください」なので次回作の意欲はあるのではないかと考えられる。「現実世界の作者都合等なにかとあるので、次回作は外野の私がやたらめったら要求することではない」というのが個人的なスタンスなのだが、次が出るなら期待しかないということは主張したい。数少ないできることである「モノを買う」、「ちゃんと感想を出力する」だけはきっちりやって次回作をぽかぽかしながら待つ所存である。

令和きららの最先端!「ニチアサ以外はやってます!」


記事を見たな!?これでお前とも縁ができた!ニチ以との縁は良縁だ!!!

 

急に漫画記事書く気になったのはこれが凄いんで紹介したいんです。(あと年末の記事でブログで紹介したいって言ってしまった)↓

 

www.amazon.co.jp

 

試し読み↓

 

seiga.nicovideo.jp


もうみんな記事書いてるのになぜ自分が書いているかといいますと、ニチアサ見てない勢の感想は貴重と判断しましたので。なんで女児アニは見まくってるのにニチアサ特撮は見てなかったんでしょうね。

 

1巻紹介
とある女子高の中庭に建つ小さなプレハブ小屋。そこでは「特撮」に魅入られた厄介なオタクたちが日々ヒーローや怪獣の制作に励んでいた! バツグンの運動神経を見出された1年生・海城あかねは、スーツアクターとして廃部寸前の特撮研を救えるか? 王道でありながら先鋭! 青春を駆ける映像制作まんが、第1巻です。*1

 

何が凄い?ニチアサ*2への理解?画力や構成?キャラクターデザイン?そこもあると思いますが、私にとって一番は四コマ表現の追及です。

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(ニチアサ以外はやってます!」1話P3~4より)



ジャブとしてこのコマから。主人公が特撮研の部室に初めて入る、なんてことないコマに見えますが、読みやすい気がしませんか。これはコマを起承転結に見立てるのではなく、アニメの絵コンテのように連続するシーンとみなし、同じ方向から撮影することで、位置関係含めシーンが簡単に想像できるので脳への負荷が小さく頭に入ってきやすいんだと思います(素人なので予想の域を出ない)。そのあとに見開きによるページめくりとドアを開く動きの連動&二コマぶち抜き&劇画調の絵をカメラを回したアングルで移すことで、主人公の特撮研との出会いが印象深く残るような魅せ方になっています。四コマをシーンの連続とみなすのはきららの主流ですが、カメラアングルや読者の動きまで意識した魅せ方を自然に取り入れられる、作者の力量、四コマ表現追及の意識には感服します。

 

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絵コンテ例*4。構成を検討する下書きみたいなものです。この時点でアニメーションがどう動くか想起されるような内容になることが多いはずです。人によるらしいですが。

 

 

 

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(ニチアサ以外はやってます!」2話P8より)


こちらのコマでは読んでいくときに目線が落ちるのとモノが落ちる動作を同期させることで動きのイメージを持たせつつ、さらに落下線にコマの分断を役割も持たせてインパクトを強めています。効果線もストライプ柄であり縦軸の印象を強めています。

 

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(ニチアサ以外はやってます!」3話P5より)



発展系としてこちら。これは同じコマ割りが並ぶという特徴を活かし、右四コマと左四コマを対応させ、映像シーンとその反応をリンクさせています。(対義語としての)一般漫画だとこういう対比の構図を自然に取り入れるのは過度に目立つため難しいところがあります。着目ポイントがそれぞれ異なるというのも各キャラに対する解像度が上がります。さらにセオリーの読み方で読んでも、右上→左上→...と読んでも成り立つ自由度の高さから複数回読んでも視点を変えれるので飽きないです。

 

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(ニチアサ以外はやってます!」4話P5より)



もう一つだけ。前ページまでの通常4コマと比べ、ワイド四コマによる絵空間把握の読み込み時間&セリフ量多による読解にかかる時間が増え、ゆったりと時が進んでいるように錯覚してしまいます。また同じ構図を繰り返すことでさらにゆっくり時間が進んでいるように思えます。(エロ漫画で一日中ズッコンバッコンヤってるのを表現するときによく見るやつ!とかいうな)

 

他にも山のように語りたいポイントありますが、これは買ってからのお楽しみということで...中でも12話は圧巻です。4コマじゃないのに4コマなんです。訳を知りたい人は買って読んでください。これで作者は「変則コマ割りは飛び道具であり行き詰まったときに消極的に使っている*5」らしいのですから恐ろしいことです。

 

「特撮わかんないとしんどいんでしょ?」という声が聞こえてきた気がしますが、自分の観測する限り
特撮ネタ×    特撮ネットミーム
なんだと思います。推測ですが、ニチアサエアプでも知ってる「ここではリントの言葉で話せ」とか「宝生永夢ゥ!」とかを絵とか台詞にねじ込んでるんだと思います。予備知識なくても楽しめるのは古典的きらら部活もの*6と同じです。特撮見てない自分が一義で面白いと思えたから間違いないですし、影響を受けて20数年ぶりに戦隊モノを見ているので。(歳がばれるよ?)(それは自分が恋アスを見て星見るようになったりスロルを見てフライフィッシィングをはじめるほどにちょろすぎるだけなのでは?)日頃からネットスラングの鳴き声だけでコミュニケーションをとっているので更なる悪のインターネットに染まって一般社会との乖離が悪化しないか既に心配しています。

 

kai-you.net


上記インタビューにもありますが、ただニチアサを描きたいというだけではなくきららコンテクストとそのパラダイムシフトを意識して描いていらっしゃいます。これは読者を置いてきぼりにしては決して実現しえないことなので内輪ネタ頼りになることもありません。「型があるから型破り、型が無ければ、それは形無し。」「人は巨人の肩の上にのる矮人。」といったような箴言古今東西残されており現代及び漫画表現にも通じるところがあると思っています。インタビューを見るにティーンエイジャーのころからきららに魅せられていた作者もそこを意識しつつ描いているのがKIRARAフリークとしては作品を読むだけでも伝わってきますし、フリークでない読者視点無意識であっても読み取れているのだと思います。

漫画表現の理解を深めることは、4コマだけでなく一般漫画を理解するにもつながると信じています。4コマ漫画の最前線を知ることは他分野の作品を理解することにも繋がるはずと思いますので、ぜひ読みましょう。要は何が一番言いたいかというと、きららは大戦国時代であり、初動がいまいちだと簡単に連載が終わってしまうらしいのでちょっとでも続きが見たいと思ったら買いましょう、ということです。

 

以下、余談と注釈

・文体、記事単位では揃えれるけどブログ単位では揃えられる気しない。後あっちゃこっちゃの文章を同時並行的に書くから整合性が取れてるか不安。

・エンターテイーメントに限らず受け手が作り手の思い通りに時間を費やすことを厭わなくさせれば勝ちな気がする。映画然りゲーム然りアニメ然り。こういう作品で学んだ時間コントロールの術を日ごろの仕事のプレゼン資料とかでも活用していきたいわね。

 

 

*1:

https://houbunsha.co.jp/comics/detail.php?p=%A5%CB%A5%C1%A5%A2%A5%B5%B0%CA%B3%B0%A4%CF%A4%E4%A4%C3%A4%C6%A4%DE%A4%B9%A1%AA

*2:特撮とはありますが作中ではほぼニチアサ特撮(戦隊、ライダー)のことを指します。

*3: https://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E7%B5%B5%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%881%E3%80%89-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E9%A7%BF/dp/4198613761

*4: https://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E7%B5%B5%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%881%E3%80%89-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E9%A7%BF/dp/4198613761

*5:塀先生、猫にゃん先生のtwitterスペース対談より。自ら課した四コマのコマ割りの制約を崩すので常に(対義語としての)一般漫画との境界線の侵犯に苛まれる(要は「コマ割り崩しまくるなら四コマじゃなくてよくない?」となりえる)ので常に意識しておかないといけない重要な感覚なのだと思います。

*6:古典的きらら部活モノと記載したものの、実はきららの部活ものは意外と少ない。36作品?のうちけいおん、アニマエール、恋アス、珠詠、ステま、ハナヤマタはるかなレシーブゆるキャン△および部活モノ感ゼロのゆゆ式がっこうぐらし!を含めて10作品。三割に満たない。

2021年所感とよかったもの

今年の感想とよかったものを雑多に書くだけ。ジャンル別で気が向けば個別記事書きたいがまとめは年内にやりたいので。

ジャンル別でなるべく今年新作となるものを優先するつもり(本は例外)。本が一番役に立つので最後に置いた。そこまでたどり着いてくれ。

 

●音楽

全然聞かなかったのもあるが私的には不作だった。10選書こうとも思ったが10曲も選ぼうと思うほどの曲がなかった。

 

・きんいろローダンセ

きんモザ関係であることを抜きにしてもkzサウンドに白戸ブラバンで圧倒的多幸感を得ることが出来る。

きんモザ曲はキャラソン含めて~~いろ+花の名前なんですが最後の最後にこの組み合わせは反則でしょ。

・les plumes

2連kzサウンド。空前の心臓ブームにアニメの方は話題を持っていかれたがTRINITYAiLE曲はずっと聞けるサウンドなんですよね。

・ドレミファSTARS!!

圧倒的多幸感ソングその2。ここまで多幸感あふれるの凄くない?

・トンデモワンダース

言葉遊びと音遊びがうますぎる。繰り返し曲って音楽理論とか関係なく完全にセンスだと思うんですけどsasakure.UKさんのは外れない気がする。

ヒプノシスマイク -Groly or Dust-

カラオケが大変。ただヒプマイの全体曲は口ずさみたくなる度が高く、声優にやらせるというコンセプトも含めて思うがままに動かされているなあと思う。

・wi(l)d-screen baroque

劇スより。ギターの音色実はあんま好きじゃないがこれは電車の演出も相まってかっこよすぎる。

・美しき人 或いは其れは

真矢!!!!!クロディーヌ!!!!! 今年はこいつにすべて破壊された。セリフ含めほぼ暗唱できるようになったのでカラオケしたいが入ってねえ。早く入れてくれぇ。

 

アニソンばっか。それ以外だとジェイコブ・コリアーとクラシックしか聞いていないのもあるが、劇スの曲をずっとループしているのが拡張できなかった最大の理由だと思う。見返してみるとブラバン曲と多幸感ソング好きすぎでしょ。

今年はボカロP出身が特に活躍した印象。kzさんのパラリンピック作曲や上記sasakure.UKさんのトンデモワンダースがTiktokでブームになったらしい等。来年はアイカツ、リステ並みのつよつよ楽曲コンテンツを見つけたい。

 

・漫画(四コマ以外)

こっちは不作気味。今年面白かったバトル漫画を紹介するぜ!

 

いじヤバ!淫獄団地!忍極!

 

以上だ!

...それでいいのか?

 

・いじめるヤバイやつ

もうそこそこ経ってるが今年になって知ったので...初期の内容からこうなるなんてわからんからしゃーない。いじめとは何かについて考えさせられるホラーサスペンスミステリーギャグバトル漫画。スピーディーさ、展開の読めなさを描く力が高くこれが群像バトルものとかみ合っている。

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うーん、これはバトルもの!個人の感想としては嘘喰い彼岸島を混ぜたような漫画。そんな漫画があるのかという話だが世の中あるもんである。二巻の時点で「ん?」となるだろうが3巻~4巻の探偵篇までいけばわかるはず。こういうおすすめの仕方は嫌いだがこうするしかねぇ。みんなで困惑しよう。

 

・淫獄団地

説明不要。パワーワードの多さと普通にバトル漫画しているところが高評価ポイント。

 

・忍者と極道

厳密には去年枠だが年末にかけて熱すぎたので...日本を陰から守る忍者<しのは>vs悪のカリスマ極道<きわみ>が、素性を知らない表では友達として裏では知らずして敵としてとんでもバトルを繰り広げる。セリフ回しもあるがシンプルに熱い展開をするので見ていて楽しい。遂に...というところで安易に逃げずしっかり描き切る方向のようなので翌年も楽しみ。

 

・ワールドイズダンシング

室町ダンスレボリューション。能を体系化した世阿弥の成長を書くのをベースにしつつ、「舞う」ことに没頭していく様の演出力がうまい。現段階では時代小説チックだが世阿弥を選んだ理由は割とはっきり予想できるのでバランス感覚も良い。

 

・最果てのソルテ

水上悟志新作。初めからもうすこ。面白いのはわかっているので完結してください。

 

ハイパーインフレーション

知略バトル風シュールギャグ。奴隷出身の主人公が体から偽札を出す能力で金本位制社会を壊す。別に知略バトル部分すべてがギャグというわけではないのだがところどころおかしい。ジャンプ期待枠。

 

・THIS コミュニケーション

上と被る感じの枠。殺しても前一時間の記憶を失うだけで死なない少女たちを主人公のデルウハ君が口封じとして殺していく自業自得を愉悦する漫画。現状俺ツエー系に分類されるので+αがほしいところはあるがデルウハ君が変わるとそれはそれで面白くないので難しい。

 

※追記

異世界喰滅のサメ

サメ映画に知見がある人にとってはパロディ要素がうまくちりばめられており面白いギャグマンガ。サメ映画を見てない人はサメ映画を見ればいいじゃない!と言いたいところだがサメ映画のほとんどは面白くないのでお勧めできないという致命的なバグを抱えている。オススメできる範囲が狭すぎるだろ...

 

・きたない君がいちばんかわいい

序盤の展開だけだとダーク目の微エログロに見えるが、真骨頂は一転攻勢してから。そしてタイトルの意味も変わってくる。多くは語りませんが、苦手な人は苦手かも。

 

四コマ漫画

打って変わってここ十年で一番の豊作。

 

・はなまるスキップ

神の書。1巻での反コミュニティ的な行動によるブラックギャグに目が行きがちだが、はぐれ者たちの日常という意味では立派なきらら作品である。

https://www.amazon.co.jp/dp/B093PTM21T/ref=cm_sw_r_tw_dp_7J8CVRTYRZ731HJPVXET

 

後表紙オサレすぎん?みんなでぽかぽかしましょう!

 

・またぞろ。

4oty大賞。留年した人が多い界隈にいるのでもしかしたらハマるかもしれない一方ティアが共感しにくい側面も多い作品と思う。誤解を恐れず言うと発達障害に近い主人公穂波殊のリアル感、解像度の高さが恐ろしい。とにかく「こうなりたい」ではなく「こうじゃだめだ」が先行するのでいろいろうまくいかず、挙句は自己嫌悪に繋がり、穂波殊は留年する。そこへきらら的成熟したキャラたちとの交流から、今の自分を認めること、何がしたいのか見つけること、周囲の人間は自分で思っているほど怖いものではないことにきづけるか。

 

・しあわせ鳥見んぐ

バードウォッチング漫画。これだけだと美少女に趣味やらせたシリーズなのだが、本作は身近な鳥を観察するバードウォッチングが美大生主人公の悩みである「個性がない=描きたいもの、表現したいものがない」に対する解「身近にも特別がある」を導く働きを担っていることで、バードウォッチングの紹介だけでなく、キャラクターへの理解の深まりに繋がっている。四コマの構図の開拓にも意欲的で、映像出身の作者ならではの考え方視線誘導を活用した俯瞰、アオリの活用等面白い。これが4oty3位ってマジ?今年レベル高すぎだろ...

 

・ホレンテ島の魔法使い

大昔の魔法使いの伝説を残念な形で観光資源にしている街の日常四コマ...と思いきや緩急あるギャグを挟みつつ魔法、ホレンテ島の謎に迫っていく構成が非常に引き込まれる。原作者がアニメーターなので4コマをアニメ絵コンテチックに見立てたミュージカル演出が圧巻。ごちうさとドまぞのハイブリットみたいな作品。

 

・ぬるめた

同人発「めたりあるあんふぃくしょん」略して「ぬるめた」がきららにやってきた。人造人間くるみ含め4人がくるみを改造したり可愛がったりだべったりする非日常系日常四コマ。これだけだとキルミー感あるが、話としてはゆゆ式の方が近い。魔改造されるのにJKの日常感がすごい。JK日常が何かは俺は知らんけど。この会話のリアリティをぜひ味わってほしい。

 

・妖こそ怪異戸籍課へ

設定の作りこみが随一。1万人以上の無戸籍者がいる現代日本に、妖怪を無戸籍者として扱い、サポートしていく部署のお役所コメディ四コマ。単話の構成力の高さ、元の妖怪の設定の活用等ハイレベル。

 

・ニチアサ以外はやってます!

まだ一巻出ていないがすでに来年4oty大賞筆頭だと思う。特撮研で自作の特撮を作っていく作品だが、四コマの使い方が巧みで現代きららの集大成という感じ。後特撮勢曰く細かいネタが多いらしい。1巻出たときに個別記事書きたいね。

 

こいつ四コマのことになると早口になるな。

 

●映画(アニメ含まず)

ワイスピと007しか見てない。キングスマンを見に行けずじまいで年越してしまった。ワイスピは次何やるんですかね?007はキングスマンに煽られて当然の出来だったと思う。

 

●アニメ(映画含む)

アニメ映画は文句なく大豊作だったでしょう。TV放送は心臓枠しか見てない。空前の心臓ブーム何だったんでしょうね(しかも来年チェンソーマンがあるので心臓アニメは続く。)

 

・劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

Amazon.co.jp: 劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトを観る | Prime Video

全てを破壊された。正直TV版そんなに好きじゃなかったが、「Discordの集会で見たから見るか~」とみたらとんでもない出来だった。数日仕事に身が入らなかったし、今も脳内の真矢クロが「真矢!!!!!」「クロディーヌ!!!!!」と叫んでる。ニーチェの神の否定と解説されてはぁ...となってたが、本作に関しては完全にその通りだろう、特に真矢クロのレヴューは。一組ただの痴話げんかしてたのいたけど。

顔のいい女がデケー声でクソデカ感情をぶつけ合うの好きすぎて延々と見返してしまっている。俺も次の舞台へ向かわないといけないのに...

 

・アイの歌声を聴かせて

吉浦監督完全新作。ジュブナイルSFミュージカルの金字塔となったと思う。Twitterを見る限り話部分が評価されているが、この監督の真骨頂はやはり見ていて楽しい映像を作る、この一点が一番だと思う。パテマの浮遊感やイブのカフェの空間感と解決篇のすっきりさ。別に話の展開そのものは新規性があるわけではないが心地よくハマる感がたまらない。「こういう設定があってぇ(ニチャァ)」みたいなのがにじみ出てると「展開もわかるし別に面白くないが?」となってしまう天邪鬼だが、吉浦監督の場合は見せたいアニメーション映像があるうえでの展開の作りこみだからそういう厭らしさがないのだろう。アニメはいいアニメーションが重要というところがなんだか忘れられがちに感じることが多いと感じるのでもっとこういう作品が人気になってほしい。

カルト的人気を得ておりまだまだ一部映画館では上映されてるので正月暇だろうから見ようね。

 

・映画大好きポンポさん

なんとなく見たんですが、途中で「これ絶対今敏監督の系譜だろ」と思ったら案の定だった。こんなつよつよカットが連続することある?劇中劇のリアリティさを出し、アニメ内の虚構と現実の境界線を侵犯するような感覚は完全に今師匠のそれだった。アニメを編集するシーンや、同時進行するシーンのカットも印象深い。もっとカットそのものが強い作品増えろ。

 

・劇場版 きんいろモザイクThank you!!

Thank you.他にいうことはないです。原作も2年前には終わると思って覚悟決めてたしまして劇場版までやっていただけるとは。本当にありがとうございました。

 

●本

DMMのフェアもあり例年になくいろいろ読んだ。今更?なものがあるかもしれんが本に関しては過去凄いといわれたものだけでも数多すぎて読み切るのは無理だししゃーない。著者は敬称略。

 

・美の起源 共立出版 渡辺 茂 著

研究としてイグノーベル賞とる人の本が面白くないわけがない。美とは何かを文化的、哲学的、科学的に模索していく。まだまだ発展途上の分野だがその研究の一端を知れる本は貴重。

 

・名画を見る眼 岩波文庫 高階 秀爾 著

ルネサンス期から印象派出現までの時代の15点の名画を取り上げ、そのの見どころとその解釈、時代背景、後世への影響などの知識が紹介されている。絵画をどう見ればいいか、というのは人それぞれであろうが研究者レベルの人がどう見てるかということ自体が参考になる。美術史が最低限程度頭に入っている方がいいとは思うのでそこは別の本で賄った方がいい。研究者目線ではあるので美大の描く人から見た目線等の本があれば教えてください。

続編や「日本美術を見る眼(岩波現代文庫)」も面白い。

 

西洋音楽史 中公新書 岡田 暁生 著

大体ドイツのせいで堅苦しいイメージあるクラシック。それは教会音楽から受け継がれていき、庶民にも広がったりもしている音楽である。どういう過程を経て進歩してきたのか、キリスト教史も踏まえてなるべく中立の立場で話が展開されるので作家ごとの特徴もなんとなくつかめるのではないか。自分もまだ聴いたことのない著名な曲はあるエアプだが、経緯が分かると面白く聴こえるのでぜひ読んで聴いていただきたい。

 

・ものづくりの科学史 講談社学術文庫 橋本 毅彦 著

標準化は現代の工学に重要であるがその歴史と発展を読み解く。機械加工関係にかかわっている都合知っていることも多かったが、工作機械登場以前の歴史等は詳しくなかったため全体の流れを知ることが出来面白かった。

 

・中国思想史 レグルス文庫 森 三樹三郎 著

東洋思想に明るくなかったため読んだ。諸子百家儒家道家などの知識がない初心者でも説明が分かりやすく理解できる。歴史にのっとり中立の立場で読めるのでお勧め。清代までで共産党中国の思想はほぼなしなのだけが欠点。

 

・類似と思考 ちくま学芸文庫 鈴木 宏昭 著

論理的思考とやたらめったら言われる昨今だが現実の人間はほとんど類似(アナロジー)で試行している。自分自身も論理的に考えれているなんて全然言えないと思う。というかできている自信があるなら数学者にでもなってる。めちゃくちゃすごい数学者や理論物理学者以外は出来ていないだろう。

有名なトランプの論理ゲーム(表が子音と母音の時裏が英字か数字かというやつ)やベイズ推定の問題に引っかかる事例を出しつつ論理的に考えれていないことを示す一方で人間の類似の拡張性や適応方法は簡単にプログラミングで実現できるほど単純ではないことも提示されている。人間がどのような思考をしているかについてのモデルを作者の持論ではあるが解説している一冊。言語に由来する要因等、結構面白い考えがされているところが多い。自分の考えを見直すうえで副読本たりえるかもしれない。

 

・法と社会 中公新書 碧海 純一 著

・現代法学入門 有斐閣双書 伊藤 正己 加藤 一郎 編

基礎共用レベルの法学すら大学一回生でやっとかなかったので今更。法が何故そもそも生まれたのか、英米法や大陸法はそれぞれどのようにできたのか歴史、社会に紐づけて解説されている。大陸法的な法構造は素人でも何となくつかめるが、よくネットで批判される判例主義の重要性がちゃんとわかる。素人目には個々の法ばかり注目されがちだが、情報化により急速に進歩していく社会だからこそどういう過程で法が変わってきたのかは被選挙権ある市民として学ぶ重要性を感じた。

 

・論より詭弁 反論理的思考のすすめ 香西 秀信 光文社新書

「は?」となる人が多いかもしれないが序章だけでいいので読んでほしい。「論理はすべてを解決する」という人間が多そうだがどれだけ正しくても自分に決済権決定権がない実際の人間関係や立場関係においてそれがいかほど役に立つだろうか。少なくとも資本主義社会でやっていくうえで持っておいた方がいい発想というか考え方の一部があるのでとにかく序章だけ読んでみてほしい。別に論理を捨てろというわけではないので。

 

・全てのアイドルが老いない世界 伴名 練 著

伴名練の中編。アイドルに対する設定の作りこみ方とキャラクターのやり取りが良すぎる。編集系のが多いけどもっと自分自身で書いてほしいというわがままなお願い。

百合姫表紙の小説もどこかでまとめて発刊していただけないかな。

 

小説が少なすぎたので数増やしたい。

 

おわりだよ~

2020年私的アニソン・キャラソン10選(from Spotify)

 早速アウトドア以外の話題ですがSpotifyサブスク登録して色々聞いてたのでまとめとして。

 

※ルール

 2020年発売にSpotifyでフル音源がリリースされたアニソン、キャラソンからピックアップ。

 アーティスト、作家、作品のかぶりは極力避ける。

 極力曲だけで選ぶ。

 

リストはこれ↓

 

以下常体

 

Aile to Yell

歌:TRINITYAiLE

作詞・作曲・編曲:kz(livetune)

 IDOLY PRIDEのユニットTRINITYAiLEの曲。2019年には公開されてたけどまあSpotifyでは2020年公開なので...

 

 いままでkzさんの曲聞く機会が意外と少なかったが、冒頭から好きそうな音鳴らしてたのでついつい嵌ってしまった。CDジャケ見たときはオーケストラサウンド方向かと思いきや、ゴリゴリの電子音サウンド。音も良いがテンポがとにかくノリやすい。声優がTrysailなのでそこを意識してはいつつも寄せすぎず、いい塩梅。ライブとかしたらめちゃくちゃ盛り上がるだろうなあという感じが容易に予想できる。

 

 このコンテンツの楽曲は今後も目を見張っていきたい。

 

BLACK OR WHITE

歌:観音坂独歩(CV.伊東健人)

作詞:DOTAMA

作曲:ANIMAL HACK・DOTAMA

 ヒプノシスマイク「麻天狼 –Before The 2nd D.R.B-」観音坂独歩ソロ曲。

 

 リーマン上がりのDOTAMAが社畜リーマンの独歩に提供ということもあり、凄くマッチしていると思った曲。俺はブラック企業勤めではないが、ちょくちょく共感できる歌詞がありリーマン経験者DOTAMAならではの歌詞だなあと感じた。黒と白の色をテーマに灰(グレー)を絡めてモノクロによる表現で統一してるのも良き。
 
 曲に関係ないがカラオケが非常に楽しい。あと独歩ちんアニメでも優遇され過ぎじゃない?俺は構わんが他推しの方から見るとどうなんだろう?

 

つむじかぜ

歌:諸星すみれ

作詞:岩里祐穂

作曲:白戸佑輔

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」第二部OP。

 

 第一部のOP「真っ白」同様変拍子ガンギマリ曲。それでいて透明感ある歌声なので歌詞は耳に入りやすい。前述の「真っ白」、イントロがアカペラの「Beautiful Flower」と高難度曲ばかりなのに平然とものにしている諸星すみれ、やはり俺が見込んだ声優だ...(後方腕組古参面アイカツ民)

 作曲の白戸さんはリステの部長キャラソン「ひと夜ひと夜にひとりごと」も担当していて、作曲の幅広いなあと思わされる。2番終わりの間奏とか聞いてて絶対クラシックとかも造詣深いよなあと分かるし。(全然音楽理論分からんけど)

 

 この組み合わせの曲今後もいっぱい聞きたい。

 

キボウだらけのEVERYDAY

歌:フルーツタルト

作詞:安藤紗々

作曲:神田ジョン

 汚いハナヤマタこと「おちこぼれフルーツタルト」(以下おちフル)OP。

 

 基本明るい進行にちょくちょく怪しい感じのSEやコードが入ってるのおちフルの汚さをさりげなく表現していて+5億点。先の曲展開予想しても意外な方向に進んでいって聞き飽きない。(この感覚俺だけじゃないよね?)基本自分が気に入る曲って先の展開読めない曲なんよね。後Ebキー(変ロ長調)なの。フラット多用なのに明るめの曲調になるのいまだによくわからん。よくわからんから好き。

 以前から知ってはいたけど作曲の神田ジョンさん(PENGUIN RESEARCH)は実質アイカツであるMia REGINAの「I got it!」の作曲もやってたし、今後展開増えてほしいなあ。

 

アカシア

歌:BUMP OF CHICKEN

作詞:Motoo Fujiwara

作曲:Motoo Fujiwara

 BUMP OF CHICKENポケモンのコラボMV「GOTCHA!」

 MVがエモエモのエモなのだが、曲がメインなので割愛(とはいえ切っても切れないので見て)


 透明よりも綺麗な〜から始まる歌詞に合わせてピアノからスタートし、BUMPでよく出てくる君と僕をトレーナーとポケモンに当てはめて、過去を振り返りつつサビで転調絡めて盛り上げつつ現在〜今後の話に帰着するという王道スタイル(通ぶってるがそんなにBUMP詳しくないけど)。


 ぶっちゃけポケモン好き補正はあるが、今年度NO.1MV。(ちなみに去年No.1は「オウムアウアに幸運を」。MVとはちょい違うかもだが)

 

ぐるぐるDJ TURN!! (Anime OP Ver.)

歌:Happy Around!

作詞:中村航

作曲:前山田健一

 「D4DJ First Mix」OP。

 

 D4DJのコンテンツ自体はエレガ主体で曲を作っているが、OPはヒャダインが担当。DJという題材を活かし大胆な転調(というか転曲?)を挟んで盛り上げるのがOP映えしていて、こういうのが得意なヒャダインに任せたのは完璧な人選と思った。
 DJテーマアニメの主題歌ということもありスクラッチ音やエフェクトマシマシで、某音ゲーをプレイしている感があり、非常に楽しい。

 後はDメロの歌詞が好み。急にしりとりが始まりながらもユーロビートやヒップホップなどの音楽ジャンルを単語で繋げ、全部愛してるで〆る、という内容で曲を繋ぐ、ことに重きをおいていることが伝わるのがオサレポイント高め。

 DJという題材を巧く活かしたOP、感服しました。

 

君のラプソディー

歌:Mashumairesh!!

作詞:Wiggy

作曲:Wiggy

編曲:三谷秀甫

 「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」のED。

 

 これでもかというくらいキャッチーな跳ねリズムを王道進行と下降クリシェに載せて歌うのが良すぎる...

 「こんなんされたら絶対聞き心地いいでしょ」って理屈でわかってても気持ちいいストロングスタイルいいよね。サビで四人歌唱+シンセにしてさらに上乗せで同主調転調(でいいのか?)しててエモさが振り切れてる。

 ラスサビ前も貯めにためて最後にトドメの「Oh my girl 想いが ~」。Oh MY GIRL?

 

 中毒性高すぎて上半期はしょっちゅう聞いてた。

 

恋のうたfeat.由崎司

歌:由崎司(CV:鬼頭明里)

作詞作曲:Yunomi

 「トニカクカワイイ」OP。和風Kawaii Future Bass。

 

 Future Bassを部分的に取り入れるようなのはアイドルアニメ中心に近年のトレンドだと思うが、界隈で有名なトラックメイカーがここまでガチガチのフューチャーベースをアニソンとして作るのは初じゃないか?はじめはfuture bass らしくハーフで入ってきておとなしめの楽曲と思いきや、Bメロからは疑似倍速でテンポアップした挙句サビに歌なしのドロップを持ってくる(尤もこれは去年女王蜂の「火炎」で似たようなことやってたけど)という構成。TVSizeだとかなり窮屈な感じに聞こえたけどFull尺ではまた印象が大分変わるし、今年一番攻めてる枠だと思う。(こういう攻めの姿勢大好き)

 そして高速譜割りになってる(Soul'd Outばりに複雑な区切り方じゃない?)のに聞き取りやすい鬼頭明里ボイスと相性が良い。この人のソロ曲良曲多くない?去年の「ロケット」然り今年の「キミのとなりで」然り。

 

 こういう感じの楽曲もっと増えてほしいし話題になってほしい。

 

コスモスサーチ

歌:わか・るか

作詞:只野菜摘

作曲:帆足圭吾MONACA

アイカツオンパレード」DCD内の楽曲。

 

 まさか令和の時代にゴリゴリの初代アイカツサウンドを聞けるなんて思いもしておらず初見で感極まってしまった曲。1年目アルバムに混ざっていても一切違和感ないと思わん?

 

 ギター、ベースのバンドサウンドにピコピコチップチューンとストリングスが混ざった歌ものを自然にまとめているのはMONACA2大オーケストラ担当の帆足さんだから当然として(当然で済ませていいのか?)、Bメロの4音フレーズ部分が印象的。

 「ぎりぎり あせって ~ 不安が あふれる」 まで淡々とした四音フレーズの繰り返しで作っており、曲としての盛り上がりは三週目のフレーズをDUOで歌うのとストリングスの音程を上げていくので表現するのがエクセレントすぎる。ストリングスは心象表現の役割もあるし天才構成では?

 

 これで本当の本当にMONACAアイカツサウンドを聞くのが最期になる(2年ぶりn回目)のが悲しいが、アイカツらしい今後もずっと続いていく感じの歌詞、曲調でアイカツの精神を再び胸に刻み込んだ。ありがとう帆足さん...

 

We Remember    

歌:KiRaRe

作詞:田淵智也

作曲編曲:伊藤翼

 「Re:ステージ!」コンセプトミニアルバム「Chain of Dream」

 

 歌詞、曲すべてがハイレベル。

 

神秘的なきれいごと懐疑的な弱気ごと極端すぎる答え選んじゃだめだ

短期的な願い事、長期的な願い事 どっちも大事にしなきゃって教えてくれた

始まりはキミだった、思い出もキミだった、行く末もキミなんだ今更だけど

 

 上記は一例だが、田淵さんの抜群音嵌めセンスでとにかく聞き心地が良い。特に「一個の後悔が 永遠のしがらみに なる わけなんて ないでしょ」のとこが歌詞、譜割り、盛り上げ方すべてで好きすぎる

 

 曲関係だと、めちゃくちゃ音数多いし、合わなそうなジャンルの音が混ざってるのに、何故生々ストリングスとゴリゴリチップチューン電子音が何故ここまでかみ合うんだ?音ゲーとかでこういうタイプよりの曲聞いてもごちゃごちゃしてる印象にしかならないんだけど、伊藤翼さんのは綺麗に分離してそれぞれのラインを辿れるのよね。そのうえで当然のようにベースラインは動きまくるしドラムもシンセもバリバリ鳴ってるんだ。わからん。

 

 このアルバムからどうせ一曲は選ぶと思って初めから1枠あけてたが、なんならトロワの「Tomorrow Melodies」も入れたいぐらいだった。安心安定のリステ。

 

以上10曲。

・・・そういえば今年は田中秀和さんの楽曲がランクインしてない。ついに秀和に勝つことが出来たか?ガハハ 

 

 俺は一生こいつには勝てねぇ...はよフル音源リリースしろ。というかそもそもアニソンキャラソン部門以外の「yuanfen」でも完敗してた。

 

<敬体にもどる>

 

 2019年があまりに豊作すぎた(ほとんどリステのせい)のでどうなるかと思いましたが、最終的にはいい感じのラインナップになったと思います。既に音源出るのが楽しみな曲(主に田中秀和さん)も多く、来年も10個選べればと思います。

 

 ただ折角Spotify入ってるのに新ジャンル開拓を怠っているので、2021年はその辺を進めて、ジャンル問わずの10選にできればなあと思っています。

 

 

 

沖縄本島DIVE 20/11/07,08

2020/11/07から09にかけて有給とって沖縄に潜ってきました。いまさらですがログ残そうと思います。

 

以下常体

 

11/7(DAY1)

 
 11月なのに真夏日。滅茶苦茶あったかくて来てよかったと思うとともに本州に帰りたくなっていた。到着DIVEということで沖縄近辺でDIVE。そこらへんの国道から50mくらいしか離れていないところだがスズメダイクマノミが一杯いて沖縄の海の綺麗さを改めて体感することとなった。

 

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 魚以外だと海中ポストを見学。ファッションポストではなく、投函するとちゃんと届くらしい。現品びちゃびちゃになりそう。チャック付きポリにわざわざ入れたりしないといけないんだろうな。

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 初心者なのでクマノミの種類とかも全然見分けがつかない。日本では六種類のクマノミがみられるらしく、今回は三種類見ることが出来た。普通のクマノミ(左写真)は二本の白線を持ち、地域で若干色が違うらしい。伊豆以南ぐらいまでの広い地域で生息しているので、本島で潜って出くわすのは概ねこいつだろう。他の個体は基本奄美以南で見られるらしく、今回は他にカクレクマノミ(中央写真)とハナクマノミ(右写真)に出会った。因みにニモはの真ん中の写真のやつ。

 

11/8(DAY2)

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 二日目は本島から慶良間まで移動してのDIVE。とにかく透明度が高く、海の底っぽいのが割と船上からでも確認できる。

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 生き物では初めてチンアナゴを見た。もっと近くから写真を撮りたかったのはやまやまだが、チンアナゴは近づくと隠れるため遠くから撮影する必要があるのに弊カメラ(SONY RX100M5a)ではズームが3倍までしかなく、断念。こういう時もっとカメラに投資したらよかったとなる。とはいえRX100M7だと本体はもちろん、純正ハウジングがないため値段が跳ね上がるのが厳しい。

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 2DIVE目からはチービシ(本島と慶良間の中間)へ移動。写真のクソデカウミガメが住み着いているらしく、コンスタントに観察できるらしい。めちゃくちゃ贅沢スポット。ちなみにウミガメも6種類いるらしいが全然違いが判らん。

 ダイビング中までは天候よかったのだが、帰るころには海が大荒れで船内は地獄絵図だった。ケラマはぶっちぎって綺麗だが、本島~慶良間までの船が50分くらいあり結構揺れるのだけがネック。

 GOTO絡めるためツアーで申し込んだのだが、3万ちょいで飛行機+ダイビングができるのはアドアドのアド。一生GOTOトラベル推進しろ。