きゃまきのブログ

アウトドア好き陰キャがライフログ残すだけ

2023年よかったもの

2023年のよかったものを備忘録として整理。

 

●音楽

・星座になれたら(結束バンド)

・光の中へ (結束バンド)

 上半期は結束バンド曲しか聞いていないぐらいの勢いでそれぞれSpotify再生1位4位だった。「星座になれたら」はなぜ文化祭ライブのタイミングであの歌詞になるのか、解読不能なまま一年過ぎてしまった。誰か助けてくれ。「光の中へ」はもっと騒がれていいクオリティと思う。歌詞の解像度の高さとめちゃくちゃキレイに音ハメされてるメロディラインの両立が凄すぎるよね。リードギターもベースも結構自由に動いてるのにグルーブ感はしっかりあるし。

 総集編自体にそんなに関心ないけど新曲出るとは信じています。

 

・RE Aoharu (Blue Archive Original Soundtrack)

・Unwelcome School (Blue Archive Original Soundtrack)

 今年のSpotify再生ランキング2位と3位。ということで今年の音楽は結束バンドとブルアカの年でした。ブルアカもはまじ先生がやってるのをみて始めたから実質はまじあきイヤーかもしれん。今時は「"曲がいい"なんて当たり前」という贅沢な時代だが、個人的にブルアカBGMはめちゃくちゃ相性がいいのか刺さりまくっている。EDM~kawaii future bassのグラデーションに位置する曲が好きなのとピアノ調主体の曲が好きだからか?

 その中でも「RE Aoharu」は上述の要素全部ある感じだから特に聞きまくっていた感じ。「UnwelcomeSchool」はサントラに入ったので改めて聞きたくった。"遍くmemeの始発点"の名は伊達じゃなくブルアカを知らない人もなぜか知っている曲。それだけの力ある曲だろうし、動画BGMとして採用されたりする機会も増える気がする。

 

・春日影(MyGO!!!!!)

 地味にBanG Dream!にハマっています(今更?)。MyGO見て昔のも見てそのまま曲も聞いている感じ。カラオケで「なんで春日影やったの!!!」やれる時が来るかもしれないことを考慮し春日影をよく聞いている(カスの動機)ので今年の曲としてはこれが選出されているが、「Neo-Aspect」とか「キズナミュージック♪」あたりもいっぱい聞いた年。Roselia,ポピパの曲好き(だから今更?)。

 

 全体的にはまってるコンテンツが中学生すぎるだろという気がしてきたが見ないふりをすることにした。上にあげたコンテンツは来年も動きあるだろうから楽しみだし新たな楽曲を発掘するのをもう少し進めたいな。

 

●アニメ(映画含む)

アイカツ!10th STORY 未来へのSTARWAY

 全体を通して本年最強の作品。基本的には感想書いた通りだが、年初の作品なのにいまだに引きずっている。具体的には朝起きて「会社行きたくねぇ~~~」ってなってると脳内の星宮が「これまで頑張ってきたんだよね!」って言ってくるんですよね、2~3日に1回は。で星宮を裏切れないので出社するという。会社は俺が出社柱している真の理由を知らない。作品の出来も俺の精神状態もヤバいなということを一年間ひしひしと感じてました。

kyamaki08.hatenablog.com

 

・ポールプリンセス!

 実質プリティーリズムだしこれ2013年だろ(?)。単体でブログ書こうかと思うくらい良かったが、時間なくてかけていない。Webアニメパートが一クール目に相当するとしたら劇場版は二クール目の終盤部分が流れていたと思っていて、(根本的に尺が足らないので当たり前だが)単純なストーリーだけで言えば描写が足りていない。なのにポールダンスショー見れば二クール目前半「存在しない記憶」が浮かび上がる。(以下しばらく妄言)ノアは伝統の呪縛からユカリの影響で解き放たれて、激しい演技もできるように幅が広がったみたいな回想があった気がする。ミオは憧れに対して変身やなり替わるという形で満たそうとする側面が強いもポールダンスでは自分だけ運動オンチでついていけてないみたいな悩むシーンがあって、自分の好きなことを改めて分析したら世界観の創作という形でチームとしてもショーについてもクオリティを上げれることに気づく回があった気がする。(だからこそ、映画では同化ではなく世界観の構築についてこだわりを持ち衣装づくりはヒナノには手伝わせなかったし、そういった作りこみがサナから認められたシーンも唐突ながら入ってきた。)これまでの3DCG技術の集大成の映像ですべての情景を思い浮かばせれるというのは一つの到達点の形だと思う。プリティーシリーズは新しいアニメをやるらしい?のでまた来年からも楽しみ。

 

君たちはどう生きるか

もう伝記だろこれ、とか思いながらもめちゃくちゃきっちりジブリ冒険譚してた。流石に最後のジブリか?と毎回言いつつ今度こそほんとに最後かもしれない。

 

●映画

・エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

 劇スか?と思いながら見てた。いやテーマは全然違うけど。とはいえマルチバースを疑似フィクション世界として映像化し境界線を曖昧にさせるというのはかなり日本アニメ的な発想のシーンづくりだよなあと思いながら見てた。マルチバース設定は出てくるトンチキ映像の理由付けだけでなく「今自分がいる世界で頑張る」というメッセージとキレイに合わせてまとまっていたところも良かった。「スイスアーミーマン」の監督と知ったときはすべて納得してしまった。

 

全然映画を見ていない気がする。ジョンウィック4もごじまいも翔んで埼玉も見にいこうとおもいつついけてない。映画に対するフットワークってどうすればあげられるんだろうな。

 

●漫画(非4コマ)

新枠

・SPUNK -スパンク!-

 新井英樹先生の凱旋。SMバーが舞台だが単なる一性癖の話にとどまらない。欲望や感情の持つ力強さを描きながらそれは切実さと滑稽さの表裏一体(あるいは直線状?)であり、その処理の仕方や付き合い方といった一般的な事例に自然と拡張されているように感じた。「なんでこれまでと打って変わって急にSMというテーマなんだよ」と読む前は思ってたけど読んだら「そりゃこの人が描くしかねーわ」と納得してしまった。

 

・鵺の陰陽師

ジャンプで義務教育を終えきららで高等教育を終えた人間だが最近立ち返ってジャンプを買うようになった理由の一つ。一個一個のシーンはまあ合理的な理由あるんだけど、シーンの連続性やテンポが限りなく独特、というか歪の一歩手前。読者がギリギリ離れないとんでもないバランス感覚がある。そしてそれが人を引き付けてる。音ゲーだと「ハネリズムと三連符とかBPM迷子の曲なのに叩いてて楽しい」みたいな。リズムの問題だから「これ俺しか好きじゃないだろ、アンケで支えないと」って(失礼だけど)みんなが各々思ってて結果掲載順は上位みたいな感じがする。ただ話自体はもちろん、おそらく作者が素直なんだろうなと感じられるところが万人に受けいれられてる?気がする。マジで感覚でしか話せず語りづらい。そしてそれが漫画としての面白さに合致しているんだろうなという作品。

 

・暗号学園のいろは

西尾維新の強みをあまりに活かせすぎている題材。謎解きを能力バトル扱いにすることでキャラの掛け合いだったり言葉遊びの上手さという強みをそのままバトルシーンにまで持ち込めていて無駄がない。さらに週間というページ数制約がテンポの良さを引き出してかみ合っている。小説も含めて(というのも変だが)最高傑作まである。作画側もジャンプ&西尾維新原作向けの構図を矢継ぎ早に繰り出すのが巧くて少年漫画度が高い。掲載順怪しいけど終わらないで...

 

・きみだけがほんとう

あらすじ(ヤンマガWebより)

 幼い頃のトラウマにより、女性に触れられなくなってしまった男子高校生・力丸。そんな彼には、ひとつ下の双子の幼馴染みがいた。姉のカガミと弟のキョウ。背丈も顔も似る2人と力丸には、とある特殊な事情が…? 成人漫画界の実力派・やっそん義之が描く異色の双子ラブ・ロマンス!

 このあらすじの設定は今のところポルノ要素にしか活かされていないが、男の娘版双角カンケイになり得るかもしれねえ...と思いながら読んでる。「ホンマか?」とか「全然ちげえだろ」とか「だからなんだよ」という批判はすべて無視。おれはやれると思っている。あとエッチだし。

 

継続枠

・Thisコミュニケーション

あと数回で終わっちゃいますね...

kyamaki08.hatenablog.com

単なるディストピアでのみ成立する話ではなく「皮肉に満ちた喜劇」(=劇的アイロニー?)というのは現実でも成り立つなというのがSPUNKの「切実と滑稽」と我が仕事からも強く感じた一年。そして両者ともある意味で俯瞰的に見れれば笑い飛ばせる」というのがそれなりに有効としている(絶対的な結論ではないだろうけど)のが結構共通していて面白いなとかいう謎の感心を一人でして一人で頷いてた。仕事で裏目ったり変な失敗の仕方した時も「草」が前に来るようになった。嫌な成長の仕方だ...

 

・踊り場にスカートが鳴る

今年はアニメ化や劇場アニメ化が盛んだった百合姫だが、百合姫でダントツで一番面白いマンガです(断言)。社交ダンス、コンプレックス、高校生活、百合という不安定な状態(なんかよくない書き方だが漫画を読めばこの感覚分かると思います)での葛藤と切実さをきめ細やかに表現していく良作。設定の上手さが前提にありながら話の展開も勢いが落ちるどころかどんどん加速してる、百合姫期待のホープ

 

 

四コマ漫画

新枠

・きもちわるいから君がすき

きもすき、きもすぎ~!!!!!!!一旦、親友の下駄箱の中で考えよう!!!! きもちわるいから君がすき 2巻発売中!!!!!!!!!

…いや真面目に面白いので読んでください。

 

・マグロちゃんは食べられたい!!

異種族コミュニケーションコメディとかいう題材をここまで真摯にやり切った作品はないと思う。よく二年もネタ尽きないなあとずっと感心していた。そのうえで全く異なる考え方にどう向き合うのか。実際の話だと取り返しがつかない以上選択の先延ばしが有効ではあるのだろうが、物語を畳むとなった際に一つの解を逃げずに提示し、しっかりと表現されていたのは素晴らしかった。終わってしまったのは悔やまれるが4oty1位にふさわしい作品だった。

 

継続枠

・星屑テレパス

アニメよかったね。FOD入ろうちゃんが床ペロするシーンは笑いなしには見れなかった(邪悪)。一方で表現面での発見も多くアニメチックな四コマがアニメになると漫画チックな感じのままみたいに思ったのと、四コマは雑誌紙面の都合上下の動きに強い一方でアニメは意外と苦手にしているのかなとロケット発射のシーンを見て感じた。なんというかアニメを見るときは目線を動かさないのと縦横比の都合による窮屈さがある。一方で奥行方向の表現には優れていてトラックアップとかと合わせた没入感(前後の動き)を共有できるのかなと。優れた四コマとアニメ表現を比べるからこそ見えた新しい感性で、星テレじゃないと考えもしなかったね。漫画の方も「悪い宇宙人」編が湿度高すぎて出力がヤバい。

 

今年忙しすぎて4otyの選評忘れました。すみませんでした。

 

●本
・ペスト(著:カミュ)

メチャクチャいい小説だった。不条理での混乱とそれに対しどう向き合うかにきわめて真摯だったと思う。

 

・自然のしくみがわかる地理学入門(著:水野一晴)

・自然のしくみがわかる地理学入門(著:水野一晴)

講義受けとけやと思われるかもだがなんか必修かぶってた気がする。で本で読めるらしいと知って読んだ。めちゃくちゃ面白かった(小並感)。最近Geoguessr世界マップもやってるのでそのあたりもあってかよかった。単位の話もあれど普通に人気講義になるわなという感じ。

 

・山が楽しくなる地形と地学(著:広島三朗)

地学関係多くない?登山するときに地形的な見方もできる方が楽しいだろうなと思いつついい感じの本をちゃんと探してこなかったが結構ちゃんとした本見つけれてよかった。

 

・近代美学入門(著:井奥陽子)

美とはなにかという哲学的問いに対しアカデミックの観点から歴史的に振り返ってきれいにまとめられていた本。芸術と技術、その分離がかなり近代的な発想であることや、よくある作者と作品はどこまで関連付けられるべきかといったことについての学術的見解など面白いテーマが多かった。

 

なんかいろいろぬけている気がするけどまあこんなもんで。今年もお疲れ様でした。

星屑テレパスは三話(雷門瞬が出ること)で面白くなるか?

 結論、面白くなる。以上。


 ...すみませんブラウザバックしないでください。これでも真面目に星屑テレパスに向き合おうとしています。


 まんがタイムきらら大人気連載中&現在アニメ放送中の星屑テレパス(作:大熊らすこ)、皆さんご覧になっているでしょうか。なっていない人は今すぐ追いつきましょう。また、原作見てない人は10/23(月)に放送されるアニメ三話を見てからまた来てください。本物の星屑テレパスをお見せしますよ。

・FOD。少なくとも一話は登録なしで見れるはず。(2023/10/22)

https://fod.fujitv.co.jp/title/b0hw

TVer

tver.jp

・なんなら漫画だけでもいいですよ。(嘘、アニメも見てほしい)

 

 なんでこれを今書こうかと思ったかと言いますと、「アニメ三話まで見れば理解る」と後方腕組みきららオタクから多数おすすめされているのを見るのですが、雑誌勢の私、ぶっちゃけ一周目時点では見ても面白くなるか理解りませんでした、というか多分面白くならないとすら思ってました。結果的には大間違いだったのですが、なんでそう判断したのか振り返ってみると「同じような反応する人もいるんじゃないかな~」と思ったのとそれが「しんどい展開だから評価されてるんだ」と安易に処理されてしまうともったいないな、と思いあえて三話直前に文章にまとめてUPしています。三話より後の詳細なネタバレはないように書いたはずですがちょっと展開に踏み込んだ話はしていますので全く情報を得たくない人はブラウザバック推奨です。
 
 さて2話までは明内ユウ、宝木遥乃遙乃の明るいキャラクターと天才の発明としか言いようのない"おでこぱしー"もあり、非常にほんわかした感じで進んでいました。しかし、三話から一転します。そう雷門瞬の登場によって。「興味があることしかしない主義」でぶっきらぼうな言動の彼女の登場により、宇宙を目指すという目標の困難さが現実問題として現れました。ここが分岐点の一つなのは結果的にはその通りなのですが、ここまでの範囲だと『「自分の居場所を見つけに宇宙に行く」「宇宙人だから宇宙に帰る」ためにペットボトルロケットから始めて現実的な話をすすめる。』に対して話がまとまる感じが自分の中では全くしなかったんですよね。二話までだと、「もうちょっとSFチックな方面で進んでいくのかな」と思っていましたがここへきて面舵一杯切り替わって困惑したのと、雷門瞬のように「宇宙工学なめすぎだろ!!」という工学系人間の感覚が出てきちゃいました。もちろん作品に合わせて読むときのリアリティラインは調整するのですがどこにひいたらいいのかがまったくわからなかったんですよね。で、これについて先に結果だけいうと、作者が提示した順の通り、今回からはほぼ現実というか実社会というかに軸に当ててよいです(ただし、おでこぱしー関連はSF要素)。「いや現実的なところに焦点当てると解決しねえだろ!!」と思うかもしれませんが、ほとんどどうにかなります、なぜか。なってしまうんです。
 なので素直に読み取ればいいという話なのですが、"何の話なのか"がはっきり掴めないと素直に受け取りにくい。で、かなりに気合い入れて見ないとこれが分からないと思っています。もちろん自分の読解力がカスなだけかもしれません。その場合は罵ってください。もう少し進めば(アニメだと5話くらい?)気楽に追ってても分かるので原作既読者はこう言い切れるんですが、ここが分からないと「雷門瞬登場」ではしゃいでいるのは単に尖ったイヤなやつが出てきたからとか、シリアスやりはじめたからなんか評価されているみたいにとられかねないかもなと感じています。そうではなく、「どういう話になるのか急激に収束していく起点となる」回であり、雑誌勢でも私のように一部は掴み切れないまま読んでいたのでそこに関しては「ちゃんと現実の話として詰めていける」というのを信じて再度今回の話がどうだったかを考えてもらえたらと思います。

 そこを前提にしてしまえば、二話までの雰囲気のまま進むよりこの相反しそうな二つを結びつける方が圧倒的に難しく、だからこそ面白くなると思えてきませんでしょうか。目標それ自身は依然ふわふわしたままです。ここからどう着地させるのか、それがどのような手腕によってなされるのか。話がふわふわした不安定な二話から今後どう進むか見えにくい不安定な三話と続き安定から離れすぎて不安に感じるかもしれません。しかし、漫画では作者の圧倒的な四コマ力により繊細かつ大胆にこの乱気流の中を進んでいきます。この巧みな表現力があったからこそ困惑してしまった自分も読み続けて来れたと思います。そしてそうさせる力があるからこそここまで雑誌購読者を惹きつけているのでしょう。もちろんアニメでどうなるのかは誰にも分かりませんが、どう進めていくのか気になったのであれば、Whatの部分よりはHowの部分に注目して見続けていただければと思います。

 

 上記より、星屑テレパスは雷門瞬が出ることでさらに面白くなります。引き続きよろしくお願いいたします。

ダイバーの聖地パラオでダイビングPart3(帰国&反省編)

パラオDAY5

 最終日、予定していたセスナに乗るくらいしかやることがなく困っていたのですが、ダイビングショップさんの口車に乗せられてセスナに乗る前ミルキーウェイという観光所→ほかの人がダイビングをしている中シュノーケル(さみしい)→ちょっと孤島によってダラダラという、絶妙に物足りなさがある行程に参加しました。セスナは高々300mなのでまあダイビングがダメなわけない(これがダメなら長野県民は伊豆で潜った後家帰れない)のですがまあこういうのは約束事を守ることが大事なので仕方ないね。

 

 ミルキーウェイは入り江になったところに数万年かけて石灰岩が溶けて泥になってたまっているのですが、この泥が美白効果があるということで全身に塗りたくってそれを海に飛び込んで落とすとかいう陽キャの極みみたいな観光地です。ひたすらに俺は「陽キャなんだ...!」と思いながらやってました。実際すごい粒子の細かい石灰(アルカリ性)と思うと真面目に洗顔効果とかは強い気がしますね。

分かりにくいですがこの海の底に高級泥が溜まってます

 

『ぼっち・ざ・ろっく!』(著:はまじあき)1巻p72より。 完全にこれになってた

 シュノーケルでも普通にクマノミが見えたり、サメが見れたりと楽しいと言えば楽しいのですが一回潜る経験をしてしまうと物足りなくなります。昔は沖縄の海のシュノーケルでもテンション爆上がりできたのに悲しいなあ。

 そんなこんなで午前の時間をつぶし、ついに楽しみのセスナへ。パラオの島群は実は世界自然遺産であり、それを海からだけでなく空から眺めるというのは贅沢の極み。乗合がいないので一人で二人分の支払い40分ほどの空中散歩へ。金額は見ていないし確認していないので実質無料ということにしました。さてそのセスナですが写真を見れば分かるのですがなんと扉がありません。扉なしヨシ!

乗ったセスナ かわいい顔に騙されないで!

 時速160kmまでぐんぐん加速し、飛び立った後は300mまでみるみる浮上。1~2分で高度を維持しどんどん飛行場から南西へ飛び立ちます。どんどん離れていって景色が変わっていく様が特にたまりません。そして何よりこの絶景!写真で盛ってるとしか思えない景色が目の前にどんどん出てきます。普通に船で通れるところの景色も、空からだと浅瀬で船が通れないように見えてきて、これまでの認識が破壊されながらも景色の美しさがそれを上書きするのは最後に飛んだから得られた感覚でしょうか。

 サービスでちょっぴり時間を増やしていただいて40分以上は飛んでいたのですが体感時間15分程度でした。車で20分+船で40分片道かかるところに25分程度でたどり着き、プロペラ機でもここまでのパワーあるんだなあと思い知りました。まじでダイビングより楽しかったまであります。(オイ)

コロール島近辺の風景。松島みたいな光景がパラオでは無限に見られます

70の島で構成されるセブンティアイランド。実は56個しかないらしい

突き出しているところが散々紹介したブルーコーナー ドロップオフとなっているのがよくわかります

初日に潜ったジャーマンチャネルというポイント。 チャネル=水路という意味。

島の間を通りかかる船のサイズからも景色の雄大さがわかります

 

パラオDAY6~グアム~帰国

 遊びの時間はここまで。ここからが地獄の耐久です。行きは1時着フライトだったのですが、さてここでよく考えてみてください。パラオの飛行場に夜中飛行機を置いておくと思うでしょうか。思いませんよね?帰国はもっと過酷です。

パラオ発グアム生フライト。One of the Most BAKA Flight Schedule.

 AM3時発とかこれが10時間単位のフライトなら一周回って分からなくもないですが2時間だけのフライト。パラオの人が国外に出るには大方これに乗らないといけないわけです。(で帰国する時も1時に着く。)ホテルを一泊分余分に払いセスナ後仮眠を取り、11時過ぎに空港へ向かい四時間黙々とアニメ見たり本読んだりました。dアニメとdmmブックスがある時代でよかったですほんとに。余談ですがパラオは今では現地のビジターSIMを買えばLTEが入ります。昔は2Gしか入らずヤフーニュースも見れなかったとか。正直考えたくもないですが、今は非常に快適です。

 そんなこんなで飛行機に乗り込み6時にグアム着。ここからも問題で、当初は1時間のトランジット予定だったのですが、ユナイテッド航空君が17時のフライトに変更したせいで、行きの時の半日、しかも射撃というスケジュールを組んでなお退屈したグアムに限界睡眠状態で11時間も滞在しないといけません。必死に観光できるところを探しましたが、今更グアムで金使うのもあほらしかったので、30℃近い中ビーチまで5kmほど歩き水着美女でも探す暇つぶしを行い(ちなみに水着率が割と低かった)、行きの時に入ったハンバーガー店で再度昼食を取り早々と空港に戻りました。早々に戻りましたが上述のコンディションのため、完全に熱中症になってました。後30分外に出てたらマジで危なかったと思います。まあバカンスしながら本とかをいっぱい消化できたと思えば悪くないか~という感じですね。ユナイテッド航空は許さないですが。

 そんなこんな(再び)で再度飛行機に乗り、3時間半ほどのフライトへ。機内食の時間になると「Chiken or Yakisoba?」 と聞かれました。行きに「焼うどんとパスタで麺がダブってしまった」をしてしまった反省からchikenにした結果は...

ユナイテッド航空機内食「チキン編」

 なんでパンとごはんなんだよ。隣の人YAKISOBAでしたが一面にYAKISOBAが敷き詰められており、焼きそばパンを分けただけのモノになってました。「詰んでいたのだ 最初から」状態。コメはやっぱりパサパサでしたが味つけは濃いのでまあ何とか、という感じでした。

 

はい。旅行は以上。後はセントレアから帰宅したのみです。日本って人多いねって思いました。

 

■反省会

 パラオは景色も海も人もいいと最高でしたが、アメカスが全部ダメ。

 ユナイテッド航空はクソみたいな時間にしか飛ばんしシートも狭いし食のハードルが低い自分が見て機内食はまあ下限寄り。そのくせ円安抜きにしても高い。パラオ人に聞いたところグアムまで行くのに往復$1,000だとか。片道二時間のフライトなのに。(日本からはお察しください...) 金がかかった要因の多くは円安とアメカス(グアム)の物価インフレとユナイテッド航空パラオ外の要因ばかりでした。金がかかる割にしんどい選択肢しかないっていうのが何より厳しいですね。楽しかったのですが直行便が復活するかもっと安値で行くプランを立てれないと二回目行くのは辛いです。現状パラオ行く金で三回は沖縄でダイビングできますのでダイビング自体を楽しむならそっちの方が堅実になっちゃうかなという感じ。

 一応グアムに行くには今現在チャイナエアラインで台湾経由もあり、こちらは前後で台湾で一泊する必要あるもそれはユナイテッドも大差ないし何より良心的な時間に飛ぶしやすいし...で結果論こちらが正解でした。台湾リスクを警戒してましたがユナイテッド航空リスクの方がダメでした。そもそもそれを気にするならパラオにも行くなやと言われれば終わりですが。

アンチ米が加速しました。NOアメリカ、NOフランス。

 

~完~

ダイバーの聖地パラオでダイビングPart2(ダイビングまで)

 

パラオDAY1

 パラオ初日はダイビング...ではなく。観光にしました。睡眠時間少ない中で潜るのが不安だったので。結果から言うと失敗でした。セスナ(プロペラ機)での空中散歩を計画していたのですが晴れてはいたものの風が強かったようで飛ばず。最終日に延期することとなったのですが、まあ代わりにやることがない。ちょっとメインストリートを歩いて、SIMカードの準備したりして午前は時間をつぶし、午後は博物館を回りました。博物館自体は楽しかったのですが、屋外アクティビティが基本となるパラオで天候に依存されない観光場所は奥の手として温存しておいた方がよかったです。スペイン→ドイツ→日本→アメリカに統治されてきた経緯がありその翻弄されてきた歴史が垣間見れます。時代ごとの解説パネルは恐らく各国が監修しているのですがドイツ君はガチガチ長文の文字一杯レイアウトで笑ってしまいました。そういうとこやぞ。勿論戦時中にいい事ばかりしていたとは思えず、そういう記述も一部ありそこは認識すべきでしょうが、展示外での話した人の印象も含めて概ね日本に対して好意的な感じが強かったです。統治時代というよりは昔のパラオ大統領が日本人とのハーフだったことやODAでの協力のほうが強いのかなという印象でした。余談ですが雑談の中でその大統領の実父が三重県出身なので三重が通じたということがありました。やっぱ三重が日本の中心三重ねぇ。

 その後はスーパーで買い物等こなしてましたが日本の品も多数入っているようで移住しても食文化で苦労することはなさそうでした。その後は現地の人が行くようなレストランで食事をしました。日本基準だと高いですがこれでもパラオ基準だと安い方な気がします。(寿司食ったら$50くらいいったりもするらしい。)初日は何もしてないですね。

パラオのスーパーの棚。子持ちししゃもがあるのか...

現地のレストランでの食事 飲み物込みで$16程度

 

パラオDAY2

 ここから本番。ボートに40分乗られ、午前はダイビングの名所ブルーコーナーとその近辺で潜りました。透明度は沖縄と比べてそんなに変わらない、というより慶良間とかより少し悪いかなぐらいでしたが、それでも25~30mくらいはあったと思います。ここは流れがあるところでカレントフックを使ってぷかぷか浮きながら魚を眺める形となります。サメが見れたりいくつかの群れは見れましたがどうやら今日は数が少なかったようでちょっと物足りなく思ってしまいました。翌日リベンジできるとのことでそちらに期待。

 午後はジャーマンチャネルというこれまた名所を潜りました。マンタが見れるかもしれないところですが今回は出会えず。いまだにダイビング中にマンタを見たことがいまだにありません。チンアナゴが結構近づいても引っ込まなくて近くで見れたのは新鮮でした。流石ダイビングに慣れまくっているだけある。

ウミガメ(ウミガメの種類マジで違いが分からんので何か分からん)

チンアナゴ

ナポレオンフィッシュ

ギンガメアジの群れ

パラオDAY3

 今日は6時過ぎには出航し朝からブルーコーナーへ潜りました。初日と異なり、群れの量が多くて大満足でした。何よりサメ好きなので、普段寄ってこないサメが近くに来てくれるのは非常に興奮しました。動画貼りたいけど重いし諦め。自分の目で確かめに行ってください。

早朝のブルーコーナーにて

サメ。人は襲わないタイプのサメなのでご安心を

 

間に地形ポイントにも潜った。ブルーホール内の光景

 最後にコロール島(ホテルとかあるとこ)にかなり近いところまで戻ってきて四本目のダイブ。ここはパラオできれいな状態で残っている沈没機が見れるとこだそうです。浅瀬ながらもタコが見れたり、ミクロネシア固有種のクマノミが見れたりと楽しかったです。長い時間潜ってられるし。

戦時の偵察機だそうです。零戦ではない。

タコ(足に吸盤あったから多分)

ミクロネシア固有のクマノミ(ダスキーアネモネフィッシュ)

 

DAY4

 ダイビング最終日。昨日より遅く9時くらいに出航したのですが、道中でイルカの群れを目撃することができました。流石最強の海。余談ですがダイビング中に見れれば最高なのは勿論ですがスキューバの空気を出すのをイルカが嫌うらしく見ることはほぼ叶わないそうです。悲しい。さらに余談だとジンベエザメも小さいのであればたまに見れるそうです。ほかにもダイビングではそう見れないようですが絶滅危惧種ジュゴンが湾内に入り込んでいたりするそうです。あのデザインから勝手に生息地北の寒い方と思ってましたがミクロネシア近辺なんですね。

楽しくダイビング三本して終了。大物を見に行くというよりはいろんな種類の魚が一気に見れるポイントなので、もう少し魚の種類の違いをしっかり分かるようになってから来た方がよかったのかな、というのが少し反省点でした。が日本と違う独特さなどは味わえて非常に満足感は高かったです。

野生のイルカ 数十匹ぐらいいました。



かわよ

ウーロンチャネル名物キャベツ



後は一日パラオで時間をつぶして(ダイビング後最低18時間以上は飛行機に乗れないのです。)帰るだけ!ですがここからが最もしんどいのでした。


Part3へ

 

ダイバーの聖地パラオでダイビングPart1(パラオ到着まで)

 GWにダイバーの聖地とも呼ばれるパラオの海で潜ってきました。海外旅行にいいコンディションというわけではないのですが、昨今の国際情勢踏まえて早いうちにミクロネシア周りは回収しておいた方がいいかな~と感じ強行。覚えているうちに書き残しておきます。

 グアム経由でパラオへ。もともとセントレアから飛ぶつもりだったのですがユナイテッド航空君が突然「すまん、日程帰るわ」と言われ関空からに変更。早速噂のユナイテッド君にかまされた中で飛ぶのかすら期待できなかったですが何とか飛びはしました。機内食は「Chiken or Udon?」と言われUdon?に引っ張られて頼んだら焼うどんとパスタでした。組み合わせアホか?

ユナイテッド航空機内食。パサパサで味は調味料の主張が強い。

 深夜グアム着。トランジットにかなり時間があるため一度外に出て一泊。GWのリゾート地だけあって一泊するだけで$100越えとまあ物価が高い。部屋は広かったのですが寝るだけだしなというのとマジで虚無のスペースがあるのみ。また深夜にホテルまで歩くのもなというのでタクシーを呼びましたが、空港近くの道は歩道がほぼなくとても夜に歩けるコンディションではなく正解でした。$25したけど。

 わざわざグアムによって何をしに来たのかとこれです。屋内施設だと火薬量に制限がかかるのでどうせならとグアム唯一の屋外射撃場に行きました。着いたときから音が凄く、耳栓しないと間違いなく耳が死にます。実際の戦場に巻き込まれるとなったら耳栓常備しとかないと耳が保たないんじゃないかと思わされますね(かと言ってセンサーとしての耳の感度を落とすのはそれはそれで危ないのでしょうが。)9mmハンドガンや357マグナムは10m程度の距離から、ARは50m程度の距離からの射撃。

今回お借りした銃(ベレッタ9mm、S&W.345Mag、COLT(M1991A1).45ACP)

 音も前述のとおりすごかったですがリコイルもすごいですね。某ソシャゲのデザートイーグル片手打ちするシスターヤバさを実感しました。ハンドガン系は近い距離なのに全然当たりませんでした。俺はリコリスになれねぇ...リコイルを意識しすぎて全体的に力んで下に言ってしまった感じがします。

AK47 なぜか一番当たった

一方ARのほうはよく当たりました。M4は(ᓀ‸ᓂ)<ばにたす ばにたーたむしながら打ってました。衝撃はすごいですがリコイルあまり気にしなくていいのと姿勢を固定しやすいから再現性取れやすいのが大きいのかも。銃身が長いと遠いとしっかり当たりやすくなるし、ほんとうによくできた設計ですね。現実だと的が動いていたりと立ち回りは考えさせられるのでしょうが。

 

その後ですが...マジでやることなかったです。インターネットで「観光ポイント!」とか言ってそこら辺のスーパーが出てくる時点でヤバい。しかも周遊バスのいくつかの路線がコロナ後休止しており足もないためお手上げ。ローカルのハンバーガーショップによって飯を食べただけで空港に舞い戻りました。

メスクラドスというハンバーガー店。$15程度で満足度高かったです。

 ここからが地獄で、パラオ行きの飛行機は23時発現地1時着とかいうお馬鹿フライトスケジュール。リゾート地のグアムとはいえ仮にも海外の空港で爆睡するのは流石に危ないし...とただひたすらに本読んだり、dアニでずっと見ようと思ってた冰剣の魔術師を見たりしてました。

アホのフライトスケジュール

 到着後はホテルまで雑談したりいくつか質問したりしながら車で20分ほどかけて送ってもらいました。パラオ語が公用語ですが英語はほぼ伝わるのと、パラオ語に輸入された日本語も少なくないので言語的ハードルはかなり低く感じました。英語も聞き取りやすい。やっぱり英語の聞き取りにくさって早口でしゃべりすぎなところととか子音の使い方(音的な部分)のほうがウェイト大きいですよね。日本人観光客が多いからか日本語喋れる人も少なくなかったです。

ホテル到着後は爆睡。本番に備えます。

 

PART2へ

「皮肉に満ちた喜劇」の傑作漫画「Thisコミュニケーション」

 「ハイパーインフレーション」は最近話題に上がることが増えたのに「Thisコミュニケーション」が依然騒がれてなさすぎると思ったのでもう自分が書くしかないとなって筆をとっています。四コマが専門なのに...

 

(以下常体)

 

●簡単なあらすじ
 謎の生物「イペリット」により人類絶滅寸前の世界。生き残った元軍人デルウハは食料を求め彷徨っていたところ極秘研究所にたどりつく。そこではイペリットに対抗するために造り出された不死身の少女達がいた。自らの食事を守るため彼女たちの指揮を執りイペリットにあらがっていく。

 

●キャラクター設定KEY POINT
・ハントレス
 不死身だが、「死ぬと一時間前の状態で再生する」という特性を持つ(これには記憶も含まれる)。捨てられた子供たちという背景もあり他者からの承認欲求が強く功を急いて協調性ない戦闘を繰り返す。
・主人公デルウハ
 徹底して合理性(≠論理性)のみを追求する最低な男。都合の悪いことが起きたら殺して記憶を消しながら彼女たちをまとめ上げていく。

 

『Thisコミュニケーション』(著:六内 円栄)第2巻114ページより
デルウハ殿。こいつがキメ顔してるときは大体最低シーン

 

 この設定だけだとサイコサスペンス的な話しか想像できないだろうが、聞いて驚け実はコメディである。キャラクター達は必死に行動しているのに大体ディスコミュニケーションにより報われない。そのような様が傍から見ると面白おかしく見えてしまう。「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」と喜劇王チャプリンは言ったがまさにそれをとてつもなく巧い構成で実現しているのが本作だ。

 


 最大のキーマンは主人公デルウハだ。よくある「ロジカルシンキング(ニチャァ)」キャラとは一線を画し、人間心理の機微も織り込んだ判断を下す。必要があれば、ハントレスが恋愛感情を抱くことを拒絶したり、女の子二人が百合してたら脳破壊して間に挟まることもする。決して作者がリョナシーン描きたいだけのために生まれた実質快楽殺人者ではない。虐殺していることがバレたら自分が殺されることも自覚しているし、リスクが大きいため基本殺人事件を起こすつもりはない。ただ三食食える生活をしたいだけなのだ。

『Thisコミュニケーション』(著:六内 円栄)第2巻114ページより
百合の間に挟まる男で不快にならないどころかバカ笑ってしまったの間違いなく二度とない



 これだけだとデルウハのせいでハントレスが狂わされている...だけに見えるのだが、彼もしょっちゅう運命の女神に翻弄される一人である。ハントレスがサプライズのつもりで偶然居合わせたタイミングで殺人の現場を見られたり、ハントレスを始末したタイミングでイペリットに襲撃されて一人で八時間防衛する羽目になったり。後者のシーンで痛み止めを打ち錯乱しながらの独白は笑い涙なしには見られない。

『Thisコミュニケーション』(著:六内 円栄)第3巻80ページより
たったこれだけの願いなのにどうして...(自業自得)

 RTA走者が倫理ゼロの行動でクリアを目指すも、ファンブルしまくっている状態なのだ。本人は必死でもRTAを見る我々はつい笑ってしまう。


 皆様が初め読んだときには「これ笑っていいのか?」となるかもしれない。しかし「皮肉に満ちた喜劇を書き続けたい」と作者も言及しており、笑ってしまうのはむしろ作者が意図したものなのだ。最新号では雑誌のアオリでも「机上より眺める惨劇〈コメディ〉」と言ってしまっている。正直この展開を計算づくで連載しているのはあまりに恐ろしい。本当に初連載?
 無論決してコメディだから物語の中身がないというような作品でもない。群像劇的な作品でもあり、そこから世の中のディスコミュニケーションについて考えられるシーンはある。エンターテイメントの中で出てくる笑いが優れておりストーリーやキャラクター心情について深く考えることもできる。テイスト的には古代や中世の喜劇を楽しむ感じだ。


 皮肉とは「予期に反し、意地悪をされたような結果になること。」という意である。キャラクターは勿論読者から見ても予想に反した展開しか出てこない。常に我々の想定する最低の斜め下をいくのだ。基本この手の作品に対して相当厳しい目を向けるのだがこれは反し方が巧すぎる。一方で個々の登場人物がどう考えているのかの思考回路はすごく自然に入ってくるためイメージ自体はすっと入ってくる(納得できるとはいっていない)。何を言ってもネタバレになるので深くは話せないが、この読書体験を漫画で味わうことは到底できない唯一無二の作品だ。一巻から面白いが真骨頂は2巻以降。既刊8巻で来月(23年4月)に新刊が出るので追いつくには絶好のタイミング。 ぜひ読んで語り相手になってください。(切実)

 

[第1話]Thisコミュニケーション - 六内円栄 | 少年ジャンプ+

 

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アイカツ10thSTORY未来へのSTARWAY に刺されました

 

 私は好きなアニメを四つ選べと聞かれるとこう答える。
攻殻機動隊」(GiSもSACも好き)
アイカツ!
「劇場版レヴュースタァライト
「人造昆虫カブトボーグVxV」

 徹底的に考え抜き、我ながら完璧なラインナップと思っており、特にリアタイで追っていたアイカツ!には格別ならぬ思いがある。そんな人間が「アイカツ!の新作EPが出た」と聞けばいかないわけにはいかない。

 基本自分は創作物を見るということは魂の奪い合いであると考えており、”勝つ”つもりで視聴する。きれいにまとまって大団円を迎えた本作の性質もあり、逆に評価を下げるのではと恐れつつも戦場へ向かった。


 結論から言うとぼこぼこにされた。反則技のオンパレードだろこんなん。刺されて数日行動不能となった。劇ス以来一年半ぶりn度目。結構感情の整理に時間がかかったのでメモ書きしとこうと思う。ここでのアイカツは単にアイドル活動のことだけを指すのではなく前に向かう意思全てを指す場合もあるので注意。

 

------(ネタバレ有)------


 本作のメインテーマは何か。オタクの妄想する二次創作を疑うような光景であった卒業後のシーンが目立つが、あくまでメインテーマは卒業である。もっというと卒業を迎えた現在での未来に対する向き合い方だ。あくまでアイカツ!自体は178話内で完結しており、ずっと日々のアイカツに全力で向き合うことが重要であるという主張に変わりはない。これは本編の終わり方は勿論、ドラマチックガールの歌詞からも明確に読み取れる。その意味で蛇足と感じた人もいるかもしれない(もし後世一気見する人がいれば特にそう感じるだろう)が、またリアルタイムで作品を追うことやターゲット層、時代背景を加味すると重要な役割を果たす作品だと考えている。


 日々のアイカツへ向き合うことの大切さはずっと変わらない。じゃあ何も変わらない?生活していれば環境や考え方など変わり、アイカツへのアプローチも変わってくる。

 学生時代は気軽に友人と相談しながらできていたようなことも、卒業したりしていくと一人で向き合わなければならない場面が増えてくる。いちごと蘭はシェアハウスはしていてもそれぞれ一人でライブ演出と芝居に向き合っていたし、みんなが鍋パで集まっても仕事の話は滅多にしない。勿論全く相談してないわけではないが、進む道が異なり専門性が高くなれば、たとえ一緒に住んでいようとおのずと一人で向き合わないといけないことが増えてくる。コロナ禍等の昨今の時世まで鑑みるとその傾向は強まっており、歳を重ねるとアイカツ無印で描かれていたような向き合い方はできなくなるのだ。


 じゃあ卒業後の彼女たちはただ孤独に闘っているのか、と言われると決してそうではない。これまで積み重ねてきたアイカツが支えとなっている。それは皆がMY STARWAYを聴きながらそれぞれのアイカツに向き合っている様子からも強く読み取れる。美月のような(≒トップ)アイドルになる残酷な夢を夢にし向き合ってきた強い彼女達にとってはたとえ将来のビジョンが昔とは少し変わってきてもそこに日々立ち向かうことは習慣づいたものだ。

 10周年を迎え、昔視聴していた幼女先輩方は現在高校生~大学生となり未来に不安を覚えているかもしれない。そういった層へ頑張る気持ちを与えられるアイドルとして、そして人生の先達としてアドバイスしているのかなと感じられた。


 そしてパンフに記載されていた残りのおまけのターゲット層である「それより上の方々(要は私みたいな独身異常男性e.t.c)」には「彼女たちはずっと日々のアイカツに向き合った日々を糧に更なる積み上げを重ねてるけどお前らは?」と問いかけているのだ。

 積み上げてきたものがあるか?さらにそれを糧とできているか?いつの間にか初心を忘れて仕事の愚痴ばかりこぼしていないか?自分がこれまで歩んだ道は誇れる道か?自然とそういったことを考えさせられてしまう。

 「ノスタルジーを感じたい」「昔のアイカツの優しい世界を感じたい」といった舐めた姿勢で臨むと現在の自分の現実への向き合い方を問われてしまうのだ。積み上げてきたものがあれば現実にも立ち向かえるしスター宮に「頑張ってきた」といわれたことを素直受け入れられるだろう。逆になければ「違う...そんな褒められる生き方をできていないんだ」と自省の念に駆られるし実際の現実世界も不安定な足場の中で闘わなければならない。本作は自らの人生の写し鏡なのだ。


 目標に対してひたむきに進むことや友人関係等横のライン(空間的なもの)、憧れの継承といった縦のライン(社会の総体として時間的なもの)の話は本編でも強く主張されていたが、目標のそのあとやその次といった縦の時間的なラインについてはあまり触れられていなかった部分であった。いや「思い出は未来の中に」や「未来向きの今」部分で触れられてはいたのだが、まだ学園の中という怖いもの知らずのままで入れる空間の中でがむしゃらに頑張っていた部分があり、今回ほど自己の選択や意思決定に対する責任が増してきた中でも同様の意思決定が保てるかといったリアリティある話はなかったと思う。

 今回その部分に注目しつつ、アイカツシリーズが培ってきた過去十年と未来を扱いながら現在というものを描く構成力に刺されてしまった。アイカツ無印を見て、「きっとみんなも日々のアイカツに向き合って前を向いているんだから終わりを悲しまずに前を向いて進むぞ」と割り切って7年(7年!?)やってきた。そしたら急にこれが出てくるんだから狂わずにいられない。ズルい。というか卑怯。


 ファン映画ということで適当にお茶を濁しながら描いて小銭稼ぎ、みたいなやり方だってできたはずなのに、ここまで攻めた内容にしたのも本作の持つ前に進む力あってこそだと思う。今度こそほんとに最後というよりは、またこういう機会もあるのかもしれないなぐらいの感じで日々を生きていこうと思える傑作だった。

 

 

●余談というか本筋と関係ない感想とか戯言とか
・ルミナスの新曲を若手の瀬尾祥太郎が担当しているのは、MONACA内での継承や変化していっている様子が感じ取れて一方的にエモさを感じていた。(別にMONACAアイカツだけ手掛けているわけじゃないので当然若手や後輩にも仕事の場として出てきた側面がメインなのだろうが。)


・ソレイユをずっと続けたいという話どうなったのかみたいなのもちらついたが、進む道がずっと完全に同じこともないし、矛盾しない程度の話だと好意的に解釈している。


・あかジェネになってからの「天然ドライヤー~」のとこもそうだが、たった数秒~数十秒でソレイユ空間の質感を出せてしまうのis何?鍋パの部分は環境などは我々の生きる現実に近づいたものであった一方会話劇は昔の作品の空気感を保てているのでヤバい。


・蘭の車BMW Z4にしたの、音を現実のものにして臨場感を持たせたかったから加藤陽一脚本の車にしたのかな。それにしてもスポーティな車が似合いすぎる。22歳で買う車じゃなくない?とか思って死んでしまった。前の会話で演劇の話をしてたから一瞬演技の話なのかなとキレイにミスリードさせたよね。


・ライチが身長伸びるのは分かるけどあの身長でC.V.瀬戸麻沙美なの笑いこらえるので必死だった。
・最後のEDほんとはカレンダーガールかドラマチックガールの予定だったんだろうと思ってるけど、無数にいい曲があるせいでまったく違和感感じなかったね。


・ライブの観客として、星宮いちごからの言葉を貰えるというのは非常に大きく、映画での体験という強みも出まくってた。ほんとに隙が無い。最近毎日星宮いちごにあんなこと言われて裏切れねえよと思いながら生活している。


アイカツは優しい世界ではあるが甘い世界ではない。足を引っ張ったり他者の利権が絡んだりといった負の感情はないが、そういった要素がなくともトップアイドルになるために勝ち抜くのは過酷な野生の世界だ。アイカツ!は日常の安寧を得るために逃避するためのものではなく、日常に立ち向かう力をもらうための作品だとお思っている。