記事を見たな!?これでお前とも縁ができた!ニチ以との縁は良縁だ!!!
急に漫画記事書く気になったのはこれが凄いんで紹介したいんです。(あと年末の記事でブログで紹介したいって言ってしまった)↓
試し読み↓
もうみんな記事書いてるのになぜ自分が書いているかといいますと、ニチアサ見てない勢の感想は貴重と判断しましたので。なんで女児アニは見まくってるのにニチアサ特撮は見てなかったんでしょうね。
1巻紹介
とある女子高の中庭に建つ小さなプレハブ小屋。そこでは「特撮」に魅入られた厄介なオタクたちが日々ヒーローや怪獣の制作に励んでいた! バツグンの運動神経を見出された1年生・海城あかねは、スーツアクターとして廃部寸前の特撮研を救えるか? 王道でありながら先鋭! 青春を駆ける映像制作まんが、第1巻です。*1
何が凄い?ニチアサ*2への理解?画力や構成?キャラクターデザイン?そこもあると思いますが、私にとって一番は四コマ表現の追及です。
ジャブとしてこのコマから。主人公が特撮研の部室に初めて入る、なんてことないコマに見えますが、読みやすい気がしませんか。これはコマを起承転結に見立てるのではなく、アニメの絵コンテのように連続するシーンとみなし、同じ方向から撮影することで、位置関係含めシーンが簡単に想像できるので脳への負荷が小さく頭に入ってきやすいんだと思います(素人なので予想の域を出ない)。そのあとに見開きによるページめくりとドアを開く動きの連動&二コマぶち抜き&劇画調の絵をカメラを回したアングルで移すことで、主人公の特撮研との出会いが印象深く残るような魅せ方になっています。四コマをシーンの連続とみなすのはきららの主流ですが、カメラアングルや読者の動きまで意識した魅せ方を自然に取り入れられる、作者の力量、四コマ表現追及の意識には感服します。
こちらのコマでは読んでいくときに目線が落ちるのとモノが落ちる動作を同期させることで動きのイメージを持たせつつ、さらに落下線にコマの分断を役割も持たせてインパクトを強めています。効果線もストライプ柄であり縦軸の印象を強めています。
発展系としてこちら。これは同じコマ割りが並ぶという特徴を活かし、右四コマと左四コマを対応させ、映像シーンとその反応をリンクさせています。(対義語としての)一般漫画だとこういう対比の構図を自然に取り入れるのは過度に目立つため難しいところがあります。着目ポイントがそれぞれ異なるというのも各キャラに対する解像度が上がります。さらにセオリーの読み方で読んでも、右上→左上→...と読んでも成り立つ自由度の高さから複数回読んでも視点を変えれるので飽きないです。
もう一つだけ。前ページまでの通常4コマと比べ、ワイド四コマによる絵空間把握の読み込み時間&セリフ量多による読解にかかる時間が増え、ゆったりと時が進んでいるように錯覚してしまいます。また同じ構図を繰り返すことでさらにゆっくり時間が進んでいるように思えます。(エロ漫画で一日中ズッコンバッコンヤってるのを表現するときによく見るやつ!とかいうな)
他にも山のように語りたいポイントありますが、これは買ってからのお楽しみということで...中でも12話は圧巻です。4コマじゃないのに4コマなんです。訳を知りたい人は買って読んでください。これで作者は「変則コマ割りは飛び道具であり行き詰まったときに消極的に使っている*5」らしいのですから恐ろしいことです。
「特撮わかんないとしんどいんでしょ?」という声が聞こえてきた気がしますが、自分の観測する限り
特撮ネタ× 特撮ネットミーム〇
なんだと思います。推測ですが、ニチアサエアプでも知ってる「ここではリントの言葉で話せ」とか「宝生永夢ゥ!」とかを絵とか台詞にねじ込んでるんだと思います。予備知識なくても楽しめるのは古典的きらら部活もの*6と同じです。特撮見てない自分が一義で面白いと思えたから間違いないですし、影響を受けて20数年ぶりに戦隊モノを見ているので。(歳がばれるよ?)(それは自分が恋アスを見て星見るようになったりスロルを見てフライフィッシィングをはじめるほどにちょろすぎるだけなのでは?)日頃からネットスラングの鳴き声だけでコミュニケーションをとっているので更なる悪のインターネットに染まって一般社会との乖離が悪化しないか既に心配しています。
上記インタビューにもありますが、ただニチアサを描きたいというだけではなくきららコンテクストとそのパラダイムシフトを意識して描いていらっしゃいます。これは読者を置いてきぼりにしては決して実現しえないことなので内輪ネタ頼りになることもありません。「型があるから型破り、型が無ければ、それは形無し。」「人は巨人の肩の上にのる矮人。」といったような箴言は古今東西残されており現代及び漫画表現にも通じるところがあると思っています。インタビューを見るにティーンエイジャーのころからきららに魅せられていた作者もそこを意識しつつ描いているのがKIRARAフリークとしては作品を読むだけでも伝わってきますし、フリークでない読者視点無意識であっても読み取れているのだと思います。
漫画表現の理解を深めることは、4コマだけでなく一般漫画を理解するにもつながると信じています。4コマ漫画の最前線を知ることは他分野の作品を理解することにも繋がるはずと思いますので、ぜひ読みましょう。要は何が一番言いたいかというと、きららは大戦国時代であり、初動がいまいちだと簡単に連載が終わってしまうらしいのでちょっとでも続きが見たいと思ったら買いましょう、ということです。
以下、余談と注釈
・文体、記事単位では揃えれるけどブログ単位では揃えられる気しない。後あっちゃこっちゃの文章を同時並行的に書くから整合性が取れてるか不安。
・エンターテイーメントに限らず受け手が作り手の思い通りに時間を費やすことを厭わなくさせれば勝ちな気がする。映画然りゲーム然りアニメ然り。こういう作品で学んだ時間コントロールの術を日ごろの仕事のプレゼン資料とかでも活用していきたいわね。
*1:
*2:特撮とはありますが作中ではほぼニチアサ特撮(戦隊、ライダー)のことを指します。
*3: https://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E7%B5%B5%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%881%E3%80%89-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E9%A7%BF/dp/4198613761
*4: https://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E7%B5%B5%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%881%E3%80%89-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E9%A7%BF/dp/4198613761
*5:塀先生、猫にゃん先生のtwitterスペース対談より。自ら課した四コマのコマ割りの制約を崩すので常に(対義語としての)一般漫画との境界線の侵犯に苛まれる(要は「コマ割り崩しまくるなら四コマじゃなくてよくない?」となりえる)ので常に意識しておかないといけない重要な感覚なのだと思います。
*6:古典的きらら部活モノと記載したものの、実はきららの部活ものは意外と少ない。36作品?のうちけいおん、アニマエール、恋アス、珠詠、ステま、ハナヤマタ、はるかなレシーブ、ゆるキャン△および部活モノ感ゼロのゆゆ式、がっこうぐらし!を含めて10作品。三割に満たない。